<W解説>韓国プロ野球の斗山ベアーズ、新監督に迎えたのは日本でも活躍したイ・スンヨプ氏=破格な待遇も話題に(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国プロ野球の斗山ベアーズ、新監督に迎えたのは日本でも活躍したイ・スンヨプ氏=破格な待遇も話題に(画像提供:wowkorea)
かつて日本のプロ野球の巨人やロッテ、オリックスでプレーした韓国球界の英雄、イ・スンヨプ(46)が、韓国プロ野球のトゥサン(斗山)ベアーズの監督に就任することが決まった。チームが14日、発表した。来季からチームを率いる。

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 イ氏は韓国南東部のテグ(大邱)市出身。高校卒業後、韓国のサムスン・ライオンズに投手として入団したが、高校時代に痛めた左ひじが完治せず、その後打者に転向した。1997年に初の本塁打王、1999年にシーズン54本塁打の韓国記録をマーク。「ライオンキング」「国民的打者」と呼ばれるようになった。2000年にはシドニー五輪に韓国代表で出場。3位決定戦の対日本戦で松坂大輔氏から決勝タイムリーを放ち、五輪での韓国野球代表初のメダル獲得に貢献した。2003年には、当時「アジア新記録」と称されたシーズン56本塁打を記録した。

 2004年から活動の場を日本に移し、千葉ロッテ、巨人、オリックスの3球団に在籍。巨人では開幕から4番打者として起用された。日本での8年間で159本のホームランを放った。また、2008年の北京五輪では、韓国代表チームを金メダルに導いた。日本語に堪能なことでも知られ、北京五輪の日本戦での勝利インタビューでも、日本のメディアの取材に対しては日本語で答えていた。2012年に古巣サムスン・ライオンズに復帰。日韓通算626本塁打をマークし、2017年限りで現役を引退した。

 引退試合では「国民的打者」と呼ばれ続けてきたことに対して「本当に重かった。有名人として生きることは幸せでもあり、不幸でもある。『国民的』という修飾語は誰にでもつくものではないが、それがあることで言動や行動に気を付けた。その言葉があったことが、自分を成長させてくれたのだと思う。また、日本でプレーした8年間については「日本では2軍で過ごした時間も長く、自分が思い描いたような姿、韓国でプレーしていた時のような爆発力を見せることができなかった。(プロ野球選手として)23年間プレーできたのは『怠けてはいけない』ということを、日本の失敗の中で学べたからだと思う。(日本での日々は)成功ではない」と語っている。

 現役引退後は、2018年には韓国野球委員会(KBO)からプロ野球の広報大使に任命された。また、同年に「イ・スンヨプ野球奨学財団」を設立し、経済的な事情で野球ができない子供を支援してきた。さらにテレビ局の野球解説者も務めるなど、引退後も韓国の野球界の発展に多方面から貢献してきた。

 そして、来季から斗山ベアーズの監督に就任することになった。韓国では現役時代はサムスン一筋でプレーしてきたが、ライバル球団の斗山で指揮者としてのスタートを切る。斗山はイ氏に監督就任を要請した理由について「知名度だけでなく、指導者としての哲学とビジョンに共感した。ベテランと若い選手を調和させ、斗山をさらにステップアップさせてくれる適任者だと判断した」と説明した。また、イ氏は球団を通じてコメントを発表し「現役時代に野球ファンから無限の愛情をもらった。指導者になってその愛をお返ししなければならないと絶えず思い続けてきた。そうした中、斗山からの要請を受けて悩んだ末に決断した。現役時代に韓国と日本で得た経験と、派手な野球より堅実な基本プレーを土台にファンに感動を与える野球を繰り広げたい」と思いを語った。

 斗山はソウルを本拠地とする。2015年に就任したキム・テヒョン監督の下、7年連続で韓国シリーズに進出した強豪だが、今季はリーグを10球団中9位で終え、8年連続のシリーズ進出を逃した。

 イ氏は3年契約で、契約金は新人監督としては過去最高額の総額18億ウォン(約1億8500万円)。球団の破格待遇も話題を呼んでいる。韓国メディアのマイデイリーは「イ新監督が野球界に与えてきた絶大な影響を斗山が評価しなければ18億ウォンもの巨額を提示することはなかったというのが大方の見方だ」とし、「斗山は破格的な再建策に乗り出した」と伝えている。

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