北朝鮮人権決議案は、北朝鮮における組織的かつ深刻な人権侵害に対する懸念を表明するとともに、これを直ちに中止するよう求め、人道的な機関のアプローチを認めるなどの内容が含まれている。決議は2003年に国連人権理事会の前身である人権委員会で初めて採択されて以降、毎年採択されている。共同提案には日本や米国、英国など60か国が参加している。韓国は2008年から2018年まで、決議案を支持する共同提案国に名を連ねたが、2017年に発足したムン・ジェイン(文在寅)前政権下では、北朝鮮との関係への影響が考慮され、2019年以降、共同提案国には加わっていない。当時の文政権は「朝鮮半島情勢など、諸般の状況を総合的に判断した」と説明していた。
これに国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は今年4月、文政権が4年連続で共同提案国に参加しなかったことについて、「文在寅大統領の対北朝鮮政策は非人道的で絶対的恥だ」と批判した。以下、文氏を「文(Moon)」と呼び捨てにし「文が政治的目的のために北朝鮮の人権を投げ出した」「北朝鮮問題に対して最低限の原則を守ってさえいれば、大統領職を退任する際に多少なりとも尊敬されていただろうが、そうならなかった」と非難した。
政権がかわり、尹政権は北朝鮮問題において、自由や人権などの価値を尊重する外交方針を掲げている。これを受けて、外交部(外務省に相当)のイム・スソク報道官は20日の定例会見で「人権は人類の普遍的な価値として尊重すべきであり、北朝鮮の人権問題も普遍的な人権問題として原則に基づく一貫した対応が必要と考えている」とした上で、「北朝鮮の人権決議案に共同提案国として参加する方策を前向きに検討している」と明らかにした。
決議案は国連で2003年以降、毎年採択されており、今年の年末の国連総会でも18年連続で採択される可能性が高い。
共同提案国への復帰について、聯合ニュースは「決議に法的拘束力はないものの、国際社会が北朝鮮の人権状況の改善位向け、声を一つにすることに意味がある」と伝えている。
韓国政府は北朝鮮の人権問題に対して問題提起に乗り出している。20日(現地時間)に米・ニューヨークの国連本部で開かれた女性・平和・安全保障に関する国連安保理の公開討論で、韓国のファン・ジュングク国連大使は、女性脱北者の人権問題について取り上げた。ファン大使は、脱北に失敗した女性の実情を取り上げ、女性たちは数年にわたる拘禁や人身売買、送還、拷問など、残酷な報復措置を受けていると指摘した。国連安保理の公開討論で女性脱北者の人権問題が提起されたのは、これが初めて。
また、ファン大使は、北朝鮮が国境を越えようとした住民を新型コロナウイルスの防疫を理由に銃殺したことや、韓国文化が北朝鮮内に入るのを防ぐために一昨年制定された「反動思想文化排撃法」について取り上げ、深刻な人権侵害の実情を訴えた。同法は、韓国の映像コンテンツを視聴した場合、最高懲役15年に処するほか、流布者は死刑とすると定めている。
一方、北朝鮮は、これまで一貫して「わが国に人権問題は存在しない」とし、国連の北朝鮮人権決議案に対しても「全面的に拒否する」と主張している。国連駐在のキム・ソン北朝鮮大使は、人権決議案について19日(現地時間)、「特定国のシステムを崩壊させることこそ人権侵害であり、その国の住民に対する侮辱だ」と改めて反発を見せた。
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