イ・サンミン の最新ニュースまとめ
事故当時、梨泰院はハロウィーン前の週末とあって、若者を中心に多くの人でごった返していた。梨泰院は、かつて米軍の駐屯地があったことから外国の文化が集まりやすい場所。そのため、もともとハロウィーンやクリスマスの時期に多くのイベントが開かれるエリアとしても有名だった。当時、仮装をして梨泰院を訪れていた人も多かった。
一方、周辺は路地裏など、狭い道が点在する場所でもあり、事故が起きた通りも幅3~4メートルほどの細い坂道。狭い通りに人あふれる中、一部の人が転倒したのをきっかけに、通りにいた人が次々と折り重なるように倒れる群衆雪崩が起きたとみられている。
事故の全容が明らかになるにつれ、警備体制の不備も指摘され始めている。梨泰院を管轄する地元のヨンサン(龍山)警察署は、新型コロナウイルス対策の行動制限が解除されたことを踏まえ、今年のハロウィーンの前後は、人手が増えることを予想していたという。韓国のSBSテレビによると、事故の数日前には同署情報課の警察官から「今回のハロウィーンで予想を超える人が集まり、事故が起こる懸念がある」との報告書も提出されていたことがわかった。しかし、事故当日、現場で警備を担当していた警察官はわずか30人ほどだったとの報道もある。
ユン・ヒグン警察庁長は1日、記者会見を開き、事故で多くの死傷者が発生し、国民に衝撃を与えたことについて「重い責任を感じる」と謝罪。「事故の真相を明確にし、責任を糾明するため、あらゆる部分で例外のない、高い強度の監察と捜査を迅速かつ厳密に進める」と表明した。
また、行政安全部(部は省に相当)のイ・サンミン長官は同日の国会行政安全委員会で「国には国民の安全に無限の責任があるにも関わらず今回の事故が発生したことについて、国民の安全の責任を負う主務官庁の長官として国民の皆さんに深く謝罪する」と述べた。その上で「再発防止のため、最善を尽くすことを約束する」とした。
今回の事故で、雑踏警備体制の不備が指摘されている中、韓国紙のハンギョレ新聞は先月31日、「『ハロウィーンの安全』に後れを取ったソウル、東京と香港は違った」との見出しで記事を掲載した。
記事は、毎年ハロウィーンの時期に人でごった返す、東京・渋谷区の事例を紹介。「(同区では)ハロウィーン期間中の事故を予防するため、28~31日の期間は毎日午後6時から翌日午後5時まで路上での飲酒を禁止している。これは2019年に制定した条例に基づくものだ。渋谷駅周辺では、毎年ハロウィーンの時期に多くの若者などが押し寄せて事故が絶えなかったため、これを予防するために条例がつくられた。渋谷区は記者会見や街頭キャンペーンを通じて規則を守るよう訴えた」と伝えた。
今年は3年ぶりに行動制限がない中でハロウィーンの時期を迎えたことから、渋谷は仮装をした若者などでごった返した。警視庁は渋谷のセンター街での歩行を左側通行にしたり、スクランブル交差点をハチ公前広場側に渡れないようにする措置を取ったりするなどして安全を確保。大きなトラブルはなかった。渋谷では警視庁が何年も前から区と商店街の関係者などと話し合いを重ね、状況に応じた流れをつくり、ハロウィーンなどに備えているという。
日本では、2001年に兵庫県明石市のJR神戸線朝霧駅の歩道橋上で、花火大会に向かう人たちと駅に向かう利用客が押し合いになって転倒する事故が発生し、11人が死亡、240人以上が重軽傷を負う事故が起きた。この事故をきっかけに兵庫県警は「雑踏警備の手引き」を作成した。
韓国でも2006年から公演やイベント会場での安全マニュアルなどがつくられ、体系的な安全管理と予防に乗り出しているが、今回の事故のように、「主催者」が明確でない場合のマニュアルは存在しない。
事故を受けて、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は「主催者がいない自発的な集団行事にも適用できる事故予防安全管理システムを設けなければならない」とし、関係省庁に対応を指示している。
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