<W解説>韓国・梨泰院の雑踏事故から早くも1か月、法的責任を問う捜査は大詰め(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国・梨泰院の雑踏事故から早くも1か月、法的責任を問う捜査は大詰め(画像提供:wowkorea)
韓国・ソウルの繁華街、イテウォン(梨泰院)で起きた雑踏事故で、警察庁特別捜査本部は1日、警察関係者に対する逮捕状を請求した。現場を管轄するヨンサン(龍山)警察署のイ・ムンジェ前署長やソウル警察庁公共安寧情報外事部のパク・ソンミン部長ら4人。聯合ニュースは「先月1日に発足した特別捜査本部が4件の逮捕状を請求したことで、事故の法的責任を問う今回の捜査は大詰めを迎えている」と伝えている。

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事故は10月29日夜に発生。現場となった梨泰院は当時、ハロウィーン直前の週末ということもあり、大勢の人でごった返していた。梨泰院はかつて米軍の駐屯地があったことから外国の文化が集まりやすい場所。そのため、もともとハロウィーンやクリスマスの時期に多くのイベントが開かれる場所としても有名だ。当時、仮装をして梨泰院を訪れていた人も多かった。

一方、梨泰院は路地裏など、狭い道が点在する場所でもあり、事故が起きた通りも幅3~4メートルほどの細い坂道だ。狭い通りに人があふれる中、一部の人が転倒したのをきっかけに、通りにいた人が次々と折り重なるように倒れる群衆雪崩が起きたとみられている。

この事故で日本人2人を含む158人が死亡。高校生ら約300人が死亡した2014年の旅客船セウォル号沈没事故以来の惨事となった。10代や20代の若者も多数犠牲となった。

今年のハロウィーンは3年ぶりに行動制限がない中で迎えるということで、多くの人出が予想されていた。しかし、事故当時、現場周辺で警備を担当していた警察官はわずか30人ほどにとどまるなど、警備体制の甘さが指摘されている。また、事故発生の数時間前から「人が多すぎて圧死しそうだ」などといった通報が警察や消防などに多数寄せられていたにも関わらず適切な対応が取られず、このことが事故を招いたとの批判もある。「人災だ」として警察や行政には国民の厳しい目が向けられている。

先月22日には、事故後初めて一部の遺族らが記者会見した。遺族の一人は「国を率いる方々が過ちを認めず、違うものを違うと言わないのが非常に残念だ」と批判。別の遺族は「悲劇の始まりは13万人の人波を管理できなかったこと。市民の安全より、(別の場所で行われていた)デモの管理に没入していた」と指摘した。

また、遺族らは会見で政府に対し6点を求めた。具体的には、政府の誠意ある謝罪、聖域のない厳格かつ徹底的な責任究明、真相究明と責任究明への被害者の参加、被害者との意思疎通の保障と人道措置に対する積極的な支援、犠牲者の追悼のための積極的な措置、2次加害を防止するための立場表明と対策づくりだ。

事故は警察庁の特別捜査本部によって捜査が進められており、これまでに警察庁や現場を管轄する龍山警察署、龍山区役所などに強制捜査が入ったほか、捜査本部は警察を統括する行政安全部(部は省に相当)やソウル市の関連部局などを家宅捜索した。

そして捜査本部は1日、龍山警察署のイ前署長やソウル警察庁公共安寧情報外事部のパク部長ら警察関係者4人に対する逮捕状を請求した。イ氏は事故当日、人員をさらに投入する必要があるとする報告があったのにも関わらず適切な対応を取らなかったほか、事故を認識した後も相応の措置を怠り、被害を拡大させたとして、業務上過失致死傷の疑いが持たれている。パク氏は事故後、龍山署を含む諸葛警察署の情報課長でつくるメッセージアプリのグループトークを通じて、報告書の削除を部下に指示した疑いがある。

捜査本部は4人について、口裏合わせや証拠隠滅の恐れがあると判断し、逮捕状を請求した。龍山区のパク・ヒヨン区長や龍山消防署のチェ・ソンボム署長らについても逮捕状の請求を検討している。

遺族たちは1日、捜査本部前で改めて記者会見を開き、警察や行政の上層部を捜査するよう求めた。また、警察を管理・監督する行政安全部のイ・サンミン長官や、警察庁のユン・ヒグン長官への捜査を求める書面も捜査本部に提出した。

これに先立ち、最大野党「共に民主党」は先月30日、イ長官の解任建議案を国会に提出した。同党は「イ長官は国家の災害及び安全管理事務の総責任者としての義務と任務を放棄し、国民の生命と安全を守れなかったことに対して責任を負わなければならない」と主張した。

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