韓国領空を侵犯した北朝鮮無人機の航跡(国会国防委員会提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
韓国領空を侵犯した北朝鮮無人機の航跡(国会国防委員会提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は4日、昨年末に北朝鮮の無人機が韓国に侵入したことについて、北朝鮮が再び韓国の領土を侵犯する場合、2018年に締結された南北軍事合意の効力停止を検討するよう指示した。合意は北朝鮮の相次ぐ挑発により有名無実化している。韓国は北朝鮮の度重なる違反にも合意の順守を促してきたが、無人機の領空侵犯で「度を越えた」と判断したとみられる。

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 北朝鮮は先月26日、小型無人機5機を韓国に侵入させ、南北軍事合意に違反した。合意では地上と海上、空中での敵対行為を中止するとして、南北軍事境界線から西部地域は10キロ、東部地域は15キロ内での無人機の飛行を禁止している。

 北朝鮮は昨年10月と11月、12月に南北軍事合意で設定された海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の北側の緩衝区域に砲弾を撃ち、合意に違反した。北朝鮮が昨年10月以前に合意に違反した代表的な事例は2件あり、海岸砲の砲門を開く程度の違反もあったが、同年5月の尹政権発足後、韓国軍の通常の訓練などを理由に合意に反する行為を繰り返している。

 韓国は北朝鮮によって南北軍事合意が形骸化する状況でも南北が合意を順守しなければならないという基本的な立場を堅持しながら慎重な態度を示したが、無人機による領空侵犯という挑発のエスカレートを受け、対応レベルを引き上げたとみられる。

 南北軍事合意は18年9月、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が署名した「平壌共同宣言」の付属合意書だ。偶発的な衝突を避けることが目的で、軍事境界線付近の飛行禁止区域、砲射撃と連隊以上の野外機動訓練禁止区域、緩衝区域などを設定した。北朝鮮が砲射撃と無人機による領空侵犯を行い、合意は締結から4年3か月で存続の岐路に立たされている。

 尹大統領は李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官に対し、監視・偵察や電子戦など多目的任務を遂行するドローン部隊を創設し、探知が困難な小型ドローンを年内に大量生産できるシステムを構築するよう指示。年内にステルス無人機を生産できるよう開発を加速させることも指示した。北朝鮮の無人機侵入に対抗し、北朝鮮地域に大量のドローンを飛ばす考えとみられる。韓国軍は北朝鮮の無人機侵犯当時、対抗措置として無人偵察機2機を北朝鮮の領空に、1機を軍事境界線付近に飛ばした。北朝鮮は反応を示さなかったことから、偵察機を探知できなかった可能性がある。

 韓国はステルス無人機を偵察と攻撃の両方の目的で開発を進める。北朝鮮の核やミサイルなどの標的を偵察する機能とともに、米軍の攻撃型無人機のように有事の際、攻撃任務を遂行できるようにする方針だ。


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