<W解説>元徴用工問題、日韓当局間で協議続くも埋まらない「呼応」の認識の差(画像提供:wowkorea)
<W解説>元徴用工問題、日韓当局間で協議続くも埋まらない「呼応」の認識の差(画像提供:wowkorea)
日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題をめぐり、外務省の船越健裕アジア大洋州局長と韓国外交部(外務省に相当)アジア太平洋局のソン・ミンジョン局長が16日、東京・霞が関の外務省で協議した。韓国政府は12日に開いた公開討論会で、同問題の有力な解決案として、元徴用工を支援する韓国政府傘下の財団が日本企業の賠償金を肩代わりする案を公表しており、16日の局長級協議ではソ氏が討論会の結果を伝え、対応を議論したとみられる。韓国内ではこの解決案に反発の声が強まっているが、こうした中でも韓国政府は解決に向けたスピードを緩めていない。

ソン・ミンジョン の最新ニュースまとめ

元徴用工訴訟をめぐっては、韓国の大法院(最高裁判所)が日本企業2社に対し、原告の元徴用工らへの賠償を命じた。しかし、賠償問題に関し、日本としては1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、履行に応じていない。

昨年5月、日韓関係改善に意欲を示すユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任し、尹政権は元徴用工訴訟問題の解決に向けさまざまなアクションを起こしてきた。外交部は解決策を模索し続けた結果、韓国政府の傘下で、元徴用工らへの支援を行っている「日帝強制動員被害者支援財団」が元徴用工訴訟の被告である日本企業の賠償金を肩代わりする案を解決の「有力案」とした。

12日に開かれた公開討論会で、外交部からこの案の概要が示された。外交部アジア太平洋局のソ局長は、被告の日本企業に賠償金を支払わせるのは事実上困難との認識を示した。また、原告側は被告企業が財団への資金を拠出することを「最低ライン」として求めているが、これについてソ氏は「日本の呼応をどの程度確保できるか、駆け引きしつつ緊密に協議している」と述べるにとどめ、可否については明言しなかった。

これに、原告側の弁護士は、政府が検討している解決案は「日本側が何も負担しない案」だとして反対の立場を示した。韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表も13日、政府が公表した案について「日本に免罪符を与える、許されない案だ」と強く批判した。

こうした中、ソ局長は16日、日本の外務省を訪れ、船越局長と協議した。ソ氏は協議後、記者団に対し討論会の結果や、これを受けた韓国内の雰囲気を伝えたとし、「今後も緊密な意思疎通を続けることを確認した」と説明した。13日に日韓外相が電話会談を行ったのに続いてこの日は局長級が協議。日韓当局はスピーディーに議論を進めている。とりわけ局長級会議は前回から約20日後という短い間隔で開かれた。その理由について外交部当局者は、韓国・聯合ニュースの取材に「でいるだけ早く訪日し、韓国国内の事情がどれほど難しいのかを日本側に伝え、韓国側の要求事項をリアルに伝える必要があると考えた」と説明した。

聯合が外交部当局者の話として伝えたところによると、韓国側はこの日の局長級協議で、日本側の「誠意ある呼応」をめぐり、「謝罪と寄与」を強調したという。韓国側は財団の財源づくりに被告の日本企業が寄与(関与)することを求めているが、日本政府は日韓請求権協定で解決済みとの立場を崩しておらず、被告企業の関与は大法院での判決履行と映る可能性があることから難色を示しているという。

一部では、有志の日本企業で基金をつくって財団に寄付する案が議論されている。これに関連して共同通信は12日、「韓国の財団が肩代わりした賠償金の返還を被告日本企業に求める『求償権』を放棄する場合、有志の日本企業による財団への寄付を容認する案が日本政府内で浮上していることが分かった」と報じた。日本としての「呼応」はこの「条件付き寄付容認案」だ。しかし、原告側は寄付であっても、あくまで「被告日本企業の関与」にこだわるものとみられる。また、謝罪に関しても、日本政府は、過去に表明した「適切なおわびと反省」を誠実に維持、継承するという範疇(はんちゅう)であれば受け入れられるとの立場だ。だが、原告側は「徴用問題に対する事実の認定」を前提とした謝罪を求めており、過去の立場を再び発表したところで原告側が納得する可能性は低い。

「韓国側が求める呼応」と「日本側が示す呼応」には開きがある状況となっており、韓国外交部の当局者は聯合ニュースの取材に、最終的な解決策の発表時期について「日本側の誠意ある呼応と関連し、両国間で認識差があるため時期は予想できない」と話した。

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