海洋水産部次官を歴任した水産経済研究院のオム・ギドゥ院長は18日、「日本の原発汚染水の海洋放出時に水産物の需要が急減し、漁業従事者が大きな被害を受けることが懸念される」として、このように述べた。
日本の東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出は、今年の海洋水産分野の最大の懸念事項に挙げられる。周辺国と環境団体の反発にもかかわらず、日本が汚染水の海洋放出を推し進めた場合、漁業生産と水産物消費の減少は避けられない見通しだ。
これに対し海洋水産部は、外交的対応とは別に水産物の消費減少を防ぐための促進対策や、備蓄買い入れなどを講じている。しかし、漁業従事者に対する直接的な支援策はない。オム院長は「水産物の需要が減少し被害を受けることになる漁業従事者のための所得安定支援金などの生計支援を準備すべき」とし、「経営安定資金など漁業組合に対する支援も検討しなければならない」と強調した。
さらにオム院長は「韓国国内の水産物の安定的消費維持のためには、政府が国産の水産物の安全性を持続的にモニタリングしなければならない」と述べ、「水産物備蓄の拡充、団体給食市場への国産水産物の優先的供給、輸入水産物の原産地管理の強化などの措置も取る必要がある」と付け加えた。
2022年、韓国の水産物輸出は史上初めて4兆ウォン(約4230億円)を突破した。オム院長は「ノリやマグロなどの主力品目の輸出増加が原動力になった」と評し、「ノリの他にアワビなどの水産物の輸出品目を選定して高付加価値化が可能な第2、第3の主力品目を創出しなければならない」と述べ、「輸出品目の多様化や、海外のニーズに合った加工水産食品の開発など、漁業従事者の革新的創意力が加われば、水産物輸出の増加が加速化するだろう」と言及した。
韓国国内では水産物の生産よりも消費が大幅に増え、水産物の自給率が下落傾向を示している。この傾向は今年も続き、韓国海洋水産開発院では水産物自給率が67.4%まで下がるものと予測している。これに対しオム院長は「消費者が求める水産物を十分に供給できていないシステムに問題がある」と指摘した。
さらにオム院長は「若年層の消費が増えているサケなどのような品目の生産を拡大するために、養殖業の大型化を支援し、多様な水産物の加工食品の開発や普及を進める必要がある」と述べ、「消費者の好みに合った水産物に対する戦略的目標を立てれば、水産食品生産の問題は解決されるはず」と説明した。
オム院長は1969年生まれで、コリョ(高麗)大学行政学科を卒業し、ソウル大学行政学修士課程を修了した。海洋水産部港湾物流課長、海運物流局長、水産政策室長などを歴任し、2021年5月に次官に任命された。海運物流局長在職当時は「海運再建5ヵ年計画」を立て、ハンジン(韓進)海運の破たん後に韓国海洋振興公社の設立を主導した人物の1人だ。
オム院長は現代商船の売却について「適切な買収候補を探し、段階的に売却計画を推進していく必要がある」と提言した。さらに「荷主企業でありながら自主物流がある企業ならばシナジー効果も期待できる」と述べ、「または純粋な荷主企業でも買収企業として可能性がある」と語った。続けて「このところ海運運賃指数が下落傾向を示しているが、不況期に比べれば高い水準」とし、「段階的に(売却計画を)推進していくことが望ましい」と付け加えた。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107