<W解説>1年前の北京五輪から続く韓国の若者の反中感情(画像提供:wowkorea)
<W解説>1年前の北京五輪から続く韓国の若者の反中感情(画像提供:wowkorea)
韓国紙の朝鮮日報は、「韓国の20代・30代の中国に対する認識が大きく悪化したことが明らかになった」と報じた。同紙はある調査結果を紹介し、韓国の若者世代は日本よりも中国との間に隔たりを感じていると伝えた。

韓国の若者の間で反中感情が急速に高まったのは、昨年2月に行われた北京冬季五輪だった。開会式の際、中国国内の各民族が中国国旗を掲げる場面で、韓国の伝統衣装「韓服」を来た女性が登場。韓国では若者を中心に「中国が韓服を自国のものと主張している」として批判が高まった。中韓間ではそれまでも度々「韓服は中国漢族の伝統衣装である漢服だ」「韓服は中国少数民族の朝鮮族の衣装なので中国の服だ」との主張が中国から出て、これに反発する韓国側と論争になってきた。2020年には中国のゲーム会社が韓国内でキャラクターの着せ替えゲームのサービスを開始したところ、韓服アイテムを取り入れたことが韓国人利用者の反発を招き、退会者が相次ぐ事態となった。結局この中国のゲーム会社は、わずか1週間で韓国内でのサービスを終了した。

北京五輪では、競技が始まってからも「露骨な中国びいきの判定が続いている」として、韓国で反発が起きた。ショートトラック男子1000メートルで、準決勝を1位で通過した韓国人選手が、その後のビデオ判定でレーン変更の反則があったとして失格となり、中国の2選手が決勝に進むことになった。

また、同じく準決勝で別の組に出場した韓国人選手も2位で通過したが、同様にレーン変更の反則を指摘され、繰り上がった中国の選手が決勝進出を決めた。決勝でも1位でゴールしたハンガリーの選手がイエローカードの処分を受け、中国選手2人が繰り上がりで金、銀メダルを獲得した。この結果に韓国メディアは「中国勢は、準々決勝から決勝まで一度も1位でゴールしていないにも関わらず、ビデオ判定により金、銀メダルを手にするという最高の成績を収めた」(聯合ニュース)と皮肉交じりに伝えた。

韓国にとってショートトラックは最もメダル獲得が期待され、量産も可能な種目だ。それだけに、この判定の問題は韓国人の怒りのボルテージを一層高めた。当時、ネット上では、中国人を蔑視する「チャンケ」などの言葉が見られ、「中国は滅亡すればいい」などと過激なコメントも投稿された。

一方、当時、中国メディアからは「韓国人の多くはショートトラックのペナルティ規定をわかっていない。韓国は長い間、中国・日本という二つの強大国の陰に隠れているうちにいつしか劣等感が生まれ、そのせいで判定を中国びいきで韓国をバカにした不公正なものだと考えている」(環球時報の国際評論関連のSNSアカウント「補一刀」)との指摘も出た。

朝鮮日報によると、ある調査で、韓国の20~30代に「最も遠く感じる国」を尋ねたところ、北朝鮮(29.1%)に次いで中国(25.3%)が挙げられた。これに、ロシア(24,5%)、日本(18.5%)、米国(2.6%)と続いた。この結果に同紙は「ここ数年にわたり『ノージャパン運動』が繰り広げられ、歴史問題などで日本との摩擦が続いている中でも、韓国の若い世代は日本より中国の方に拒否感を抱いているのだ」と指摘した。

韓国の若者の間で反中感情が渦巻いている背景には、景気停滞、就職難などで将来への不安が高まっている中、それを隣国(中国)に対する軽蔑の代えているとの指摘もある。また、K-POPやKドラマの成功で自国文化への誇りが高まっている中で、大国に対する強いライバル意識が反中感情という形で現れたと見ることもできる。

朝鮮日報のある北京特派員は、北京五輪を機に反中感情が高まり始めた昨年2月、コラムで「MZ世代で広がる反中、反韓の雰囲気が完全に固まってしまえば、両国の未来に現実的な負担となってしまう」と懸念した。

北京五輪の開催から1年。韓国の若者の反中感情は依然、収まる様子はない。

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