韓国統計庁による「2023年1月基準の年齢別人口」(下の数字は年齢・上の数字はその人口数)(画像提供:wowkorea)
韓国統計庁による「2023年1月基準の年齢別人口」(下の数字は年齢・上の数字はその人口数)(画像提供:wowkorea)
韓国の産業現場では、「低出産」による若い労働者減少のため「高齢化」が急速に進んでいる。「今よりも働く人がいなくなる場合、企業の連鎖倒産が現実化するおそれもある」という懸念の声が出ている。

韓国貿易協会のチョン・マンギ副会長は最近、韓国の新聞社“ヘラルド経済”とのインタビューで「『低出産問題に大韓民国の存亡がかかっている』という状況まで迫っている」とし「問題を問題として認識するレベルではなく、ただちに解決法を見出さなければならない状況だ」と診断した。

つづけて「社会的に出産できる雰囲気と環境が築かれなければ、これからは働く人がいなくなるしかない」とし「若い世代の出産忌避(きひ)現象を回復させるため、企業は共に立ち上がらなければならない」として、変化を求めた。

企業たちによる「出産率引き上げ」のための対策も、次々と打ち出されている。「ESG(環境・社会・支配構造)経営」の重要性が台頭する中、大企業を中心に「持続可能」という脈絡で社員の福祉制度を支援しようとする試みが注目されている。

韓国最大の鉄鋼メーカー“ポスコ”は最近、職場内の保育園のうち2か所を自社ではなく協力企業の職員のこどものために開放した。授業料から食費までの全額支援は基本である。現在51か所の協力企業の職員が、ポスコグループの保育園を利用している。

また現代自動車グループは昨年8月、現代自動車グループ本社の保育園を増築した。2つの建物を連結し、これまでの収容人数であった62人から約1.7倍の計107人まで園児数を増やした。さらには柔軟勤務制と育児休職の使用も、積極的に奨励している。これらは「“仕事と家庭”両立」のための努力である。

雇用労働部(省)が発表した「雇用形態別労働実態調査」によると、韓国の全労働者の平均年齢は2021年43.4歳まで上昇した。2009年の38.5歳から2019年には42.6歳と、毎年上昇している。

統計庁が集計した2023年度1月(末日基準)の求職可能年齢(満27歳)の人口数は、70万5763人であった。これは、1999年に満27歳で現在52歳である人口数91万6319人より、20万人以上少ない数値である。

「低出産」により、「高齢化」はより深刻化するものとみられる。実際、2035年に満27歳となる現在満15歳の人口数は49万9150人と観測された。さらに2047年に満27歳となる現在満3歳の人口数は30万4481人で、これは現在満27歳の半数にも満たない数値である。

KDB未来戦略研究所は「人口高齢化の進行速度が加速していることにより、企業労働者の平均年齢も急速に上がっている」とし「高齢化が急速になるほど、企業としては賃金負担が一層加重され、これは経済・社会的に大きな衝撃として迫ってくるだろう」と分析した。

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