イ・サンミン の最新ニュースまとめ
事故は昨年10月29日、ハロウィーンを前にした週末でごった返す梨泰院の通りで起き、日本人2人を含む159人が死亡した。犠牲者は10代、20代の若者が多かった。高校生ら約300人が犠牲となった2014年の旅客船セウォル号沈没事故以来の惨事となった。
梨泰院はかつて米軍の駐屯地があったことから外国の文化が集まり、その文化に触れることができる場所としても有名だった。ネットフリックスで配信され、大ヒットした韓国ドラマ「梨泰院クラス」の舞台となった観光名所でもあり、日本人にも人気の街だ。
多くの人でにぎわう場所である一方、路地裏など、狭い道も点在しており、事故が起きた通りも幅3~4メートルほどの細い坂道だった。狭い通りに人があふれる中、一部の人が転倒したのをきっかけに、通りにいた人が次々と折り重なるように倒れる群衆雪崩が起きたとみられている。
この事故では警備体制の甘さや警察や消防の対応の不備が指摘された。新型コロナの行動制限がない中で迎えるハロウィーンということで、多くの人出が予想されていたが、警備に動員された警察官らの人数は不十分で、また、事故発生の数時間前から「人が多すぎて圧死しそうだ」などといった通報が警察や消防などに多数寄せられていたにも関わらず、適切な対応を取らず、これらが事故を招いたとの批判が噴出した。
事故を受けて、警察庁は約500人で構成する特別捜査本部を発足。先月13日、捜査結果を発表し、管轄の自治体や警察、消防など、法令上、安全予防や対応の義務がある機関が事前の安全対策を怠るなど、事故の予防対策を取らなかったために起きた「人災」と結論付けた。
捜査の結果、梨泰院を管轄するヨンサン(龍山)警察署のイ・イムジェ(李林宰)前署長や龍山区のパク・ヒヨン(朴熙英)区長ら23人(逮捕6人)が業務上過失致死などの容疑で送検された。一方、行政安全部(部は省に相当)のイ・サンミン(李祥敏)長官やソウル市のオ・セフン(呉世勲)市長、警察トップのユン・ヒグン(尹熙根)警察庁長らは人出の危険性に対する具体的な注意義務があったわけではないとして、「嫌疑なし」とされた。事故の捜査は先月終結したが、捜査が未だ不十分だと訴える遺族は多い。
事故から4か月がたったが、梨泰院にかつてのような賑わいは見られず、閑散とした状態が続いている。梨泰院の「世界グルメ文化通り」の地下で26年間にわたって衣服店を営んできた店主は、朝鮮日報の取材に「お客さんが2~3日に1人来るかどうかなので、店を開ける意味がない。梨泰院が復活するまで待つのは難しい。(ソウル近郊の)キョンギド(京畿道)・クリ(九里)市に住んでいるが、今年後半ごろにはここを出て、自宅近くで店を出そうと思っている」と話した。
取材した同紙の記者は「(先月)21日午後7時ごろにやってきた世界グルメ文化通りは、本来なら人々でにぎわい、商売も最も忙しい時間帯のはずだが、人の気配はほとんどなく、冷たい空気ばかりが漂っていた。約300メートルに達するこの通りにある64店のうち、29店は閉めている状態だった。4店は建物内部が空っぽで、残りの店も多くはさまざまな張り紙があったり扉にホコリがたまったりしており、長い間営業していないことがわかる」と梨泰院の現状を伝えた。
一部の店は割引のイベントを行うなどしたが、消費者の反応はいま一つだったという。また、梨泰院があるソウル市ヨンサン(龍山)区は1月、梨泰院とその周辺の店でのみ使える商品券100億ウォン(約10億3600万円)分を発行したが、現在のところ約23億ウォン分しか売れていないという。
梨泰院駅近くにある洋服店の店主は、朝鮮日報の取材に「梨泰院が好きで13年間、この店を守り、商売をしてきたが、もう商売をする気力がない。梨泰院の悪材料に疲れた」と語った。店主は今月末にソウル市内の別の区に店を移すという。
活気ある梨泰院に戻る日は来るのか。
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