韓国の輸出市場でのシェアは、2014年には3.02%と初めて3%超を達成。2018年(3.09%)まで5年連続で3%台を維持した。しかし、新型コロナウイルスの流行以降は、2019年に2.85%、2020年に2.9%、2021年に2.88%と2%台で推移している。コロナの影響のほか、2018年からの米中対立により、世界に自由第一主義や保護貿易主義が広がったことも影響した。
韓国最大の輸出品目である半導体が世界の輸出全体に占める割合は、2018年には20.9%にまで上昇したが、2019年には17.3%に下落。2010年に19.4%、2021年に19.9%、そして昨年は18.9%と4年連続で20%を下回った。韓国紙の中央日報は「半導体は危機を越えて『非常事態』だ」と指摘している。
ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が今年2月、主宰した輸出戦略会議で、今年の輸出を0.2%増加させ、輸出額6850億ドル(約92兆4000億円)を達成すると宣言した。中でも、世界的に人気を集める韓国のコンテンツ(K-コンテンツ)をファッションや観光、ITなどさまざまな分野に生かし、輸出を活性化させるよう関係部署に指示した。尹大統領は会議の冒頭、「輸出が鈍化し、貿易赤字が続けば、海外への依存度が高い韓国経済は非常に厳しくなる」と危機感を示し、輸出やスタートアップ(新興企業)の活性化が必要との認識を示した。
尹政権は経済再生を重視しており、尹大統領が今年の元日に国民向けの「新年の辞」を発表した際も主に言及したのは経済分野だった。輸出の重要性を繰り返し強調し、「複合危機は輸出で突破しなければならない。輸出は韓国経済の根幹で、雇用の源泉」とした。また、「韓国の輸出戦略は過去とは変えなければならない」「全ての外交の中心を経済に置き、輸出戦略を直接構築する」と決意を示した。
韓国は人口が多い国ではなく、国内マーケットの規模が限られている。このため、国内に加え海外市場への進出を目指さなければ経済を成長させることはできない。
しかし、韓国メディアのヘラルド経済は「これからの展望も明るくない」と指摘した上で、「中国のリオープニング(経済活動の再開)効果が予想より遅くなっていることから、韓国の輸出反騰も時間がかかる可能性が高い」と分析。「国内の景気状況により、韓国銀行が基準金利をたやすく引き上げることができない中、過去最高水準で広がっている米韓の金利格差も問題だ。現在1.5%である米韓の金利格差は、米国が1~2回基準金利をさらに上げれば、最大で2%までその格差が広がることになる。その場合、ウォンが急激に弱まる可能性が高い。『ウォンの弱まり』は輸入現資材価格を引き上げ、貿易収支を悪化させる悪循環のテコとして作用することになる」と解説した。その上で同メディアは「結局、『中国』、『半導体』という韓国の輸出2大要因への依存度を下げることが何よりも急がれる課題だ」と指摘した。
今年2月に開かれた前出の輸出戦略会議で、尹大統領は、K-POPや韓国ドラマなどのコンテンツが世界的な人気を博し、輸出の規模が拡大していることから、K-コンテンツをファッションや観光、食品ITなどと結びつけ、付加価値としての活用に取り組むよう指示した。また、文化体育観光部(部は省に相当)はK-コンテンツの年間輸出額を市場拡大の取り組みなどを通じて2027年までに現在の2倍に引き上げる計画を明らかにした。政府はまず、K-コンテンツの勢いが相対的に弱い中東や欧州、北米などの地域を集中的に攻略し、市場を広げる計画だ。特に石油産業を重視する傾向にあった中東諸国が最近になって先端技術や文化コンテンツに目を転じていることを受け、現地の言語や文化的背景を踏まえたコンテンツの普及を図る。また、K-POP公演などの文化イベントで接点を増やしていく。
また、昨年に続き、輸出が2桁の増加となっている電気自動車と2次電池も半導体の不振を埋める可能性を秘めた重要な輸出品目となり得る。尹大統領は今月20日に開かれた国家戦略会議で、2次電池産業について「技術革新が最も活発に起きている分野であり、技能と安全性を画期的に高める技術改革で、他国との超格差を維持しなければならない。韓国企業が追い越されず優位を確保できるよう確実に後押しする」と述べた。
韓国は「半導体」「中国」依存の輸出構造から脱却し、世界の輸出市場でのシェアを再び拡大させることができるだろうか。
Copyrights(C)wowkorea.jp 3