この日、玄会長の訪朝計画に対する不許可の立場は、北朝鮮のキム・ソンイル外務省局長が談話の中で語った。対南機関ではない外務省がこれを発表したのは異例のことだ。通常、南北関係の懸案は、過去に祖国平和統一委員会や統一戦線部などの対南機関で発表してきた。最近は、キム・ヨジョン(金与正)労働党副部長が直接発言することが多かった。
韓国・北韓大学院大のヤン・ムジン(梁茂進)総長はこれについて、「南北関係を特殊関係ではなく、一般的な国家関係とみなした」と分析した。慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授も「南側との関係を『民族同士』ではなく敵対関係に設定し、韓国を同胞として接するのではなく敵対国家として接するという意図と見られる」と説明した。
この日の談話で北朝鮮が「金剛山観光地区は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)領土の一部であり、したがって韓国に入国する問題で朝鮮アジア太平洋平和委員会はいかなる権限も行使できない」と語ったことも注目される。
これまで現代側は、同委員会に連絡して訪朝のための招待状を受け取り、韓国の統一省から承認を受けて訪朝した。このようなやり方が、もはや有効ではないことを北朝鮮が公式化したことになる。
今後、訪朝のためには他国のようにビザを発給してもらう手続きを経なければならない可能性もある。梁総長は「韓国が他国に行くときにビザが必要なように、そのような外交関係に基づいて外国人に準じ、韓国側関係者の訪朝を処理するということ」と分析した。
しかし、北朝鮮側が「南朝鮮のいかなる人物の入国も許可できない」と述べたことから、他の方法でも訪朝は容易ではないものとみられる。
韓国側の統一省に当たる機関とされていた祖国平和統一委員会が完全になくなった可能性も高い。過去、南北高官級会談が開かれれば、韓国側の統一相と北朝鮮側の同委員長が首席代表として出席した。
しかし、キム・ヨジョン(金与正)氏が2021年3月の談話で「現情勢でこれ以上存在する理由がなくなった対南対話機関である祖国平和統一委員会を整理する問題に関して、日程に載せざるを得ない」と廃止を予告した。それ以降、同委員会の活動は観察されていない。
北朝鮮が玄会長の訪朝を拒否したのは、最近急速に冷え込んでいる南北関係を如実に表している。玄会長は2018年8月に、故チョン・モンホン(鄭夢憲)会長の15周忌行事のために金剛山を訪問した。しかし、5年間で雰囲気は大きく変わった。北朝鮮の度重なる武力挑発で、日米韓安保協力が強化された。北朝鮮はこれを口実に軍事力の強化に熱を上げている。
さらに北朝鮮は最近、へクムガン(海金剛)ホテルなど金剛山の韓国側施設を撤去しており、玄会長の訪朝を受け入れる可能性はそもそも大きくなかった。
イム教授は「現政権に対する敵対感が高まっている状況だ。(北朝鮮と)親交が深い人なので、今回の招請で意味のある対南メッセージを送ろうとするのではないかという解釈自体を一切封鎖しようとしている」と伝えた。
一方、北朝鮮のキム・ソンイル外務省局長は談話を通じて、「南朝鮮(韓国)のいかなる関係者の訪問意向について、通報を受けていない。知ることもできず、また検討する意向もないことを明確にする」と述べた。玄会長側は来月4日、故鄭夢憲会長の20周忌に合わせて訪朝を推進しており、先月27日、韓国の統一省に対北朝鮮接触申告を提出している。韓国政府がこれを受理するか決定する前に、北朝鮮は事前に訪朝を遮断した。
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