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海洋放出計画をめぐっては、日本政府が2021年4月、放出の方針を閣議決定した。韓国政府は当時「日本政府からの事前協議がなく、日本側が一方的に決定したもので遺憾だ」と批判した。
ほとんどの韓国メディアは日本政府の方針を批判的に報道。関連する記事ではこれまで一貫して処理水を「汚染水」と表現している。漁業関連団体からも激しい反発が起きた。日本産の海産物に不安が高まり、韓国産と偽って流通させていたとして韓国の水産業者が摘発されたこともあった。
日本政府と東京電力は安全性を繰り返し強調しているが、韓国政府は処理水の海洋放出について「科学的で客観的な根拠に従い、合理的に、透明性を持って行わなければならない」としている。
5月に開かれた日韓首脳会談で、岸田首相と尹大統領は、韓国の専門家らによる視察団を日本に派遣し、現地を視察させることで合意した。これに基づき、韓国は原発や放射線の専門家ら計21人で構成する視察団を編成し、5月に来日。福島第一原発を訪れ、処理水を薄める設備や海への放出に使う設備のほか、処理水に含まれる放射性物質を分析する施設を確認するなどした。また、経済産業省や原子力規制委員会の担当者らと会合も行った。
視察団は5月31日、ソウル市内で記者会見し、視察結果について発表した。視察団の団長を務めた韓国原子力安全委員会のユ・グクヒ委員長は「設備が計画通り設置されていることが確認でき、必要な処理水のデータも入手できた」と視察の意義を強調。一方、処理水放出の安全性に関する評価は避けた。
韓国政府は視察団が福島で確保した生データの分析内容や、東電による海洋放出設備の試運転に対する評価、2021年8月から韓国原子力安全技術院の主導で行ってきた処理水放出の安全性の点検評価分析などを盛り込んだ独自の報告書を、今日7日に公開することにしている。
今月4日にはIAEAが放出計画に関する包括報告書を公表。「放出に対する日本の取り組みは国際的な安全基準に合致している」と結論づけた。
日本政府としては、国際機関の「お墨付き」を放出計画の後ろ盾にしたい考えで、韓国政府も、公表されたIAEAの包括報告書が示した結論を尊重する立場を示した。しかし、内容については「分析を進めている」として判断を留保した。一方、これまで一貫して放出計画を批判してきた韓国の最大野党「共に民主党」は「IAEAの報告書は汚染(処理)水海洋投棄の免罪符になり得ない」と強調した。同党のパク・ソンジュン報道官は「核廃水放出はあくまで日本の決定であり、自分たちは何の責任もないというのがIAEAの立場」と指摘。報告書についても、「不十分な検証結果に基づき、中身がない」と痛烈に批判した。「共に民主党」は放出の阻止のために総力を挙げており、今日7日には韓国の国会議事堂前で反対活動の決起大会を開く予定。
こうした状況下、11日から開かれるNATO首脳会議に合わせ、岸田首相は尹大統領と首脳会談を行う方向で調整を進めている。海洋放出計画に関し、安全対策や監視体制、IAEA報告書の内容などについて、尹大統領に直接説明することにしている。大統領室は6日の記者会見で「どんな議題を取り上げるか事前に話し合わない」としながらも、「韓日首脳会談が実現すれば、福島処理水問題が(議題に)出る可能性もある」と述べた。その上で「日本側から言及があれば、わが国民の健康を最優先にするという原則を堅持しつつ、(尹大統領が)必要な話をすると思う」と説明した。
一方、「共に民主党」は「国民の85%が反対する問題に関して、尹大統領は、今からでも国民の意向を日本側に正確に伝える必要がある。国民の命と安全を守ることは大統領の第一の責務だ」とし、首脳会談で民意を伝えるべきと主張した。
この問題の最終局面で開かれる見通しの日韓首脳会談に注目が集まっている。
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