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会談冒頭、岸田首相は「再び、われわれが2国間協力や国際社会の諸課題について率直に意見を交わすことで、日韓関係の強化に一層弾みをつけていきたい」と呼びかけた。これに対し、尹大統領は「韓国と日本の両国がともに協力すれば、地域の平和と繁栄、そしてグローバルな懸案を解決する上で大いに役立つと考えており、緊密な意思疎通を図っていきたい」と応じた。
韓国内では現在、福島第一原発の処理水の海洋放出計画について懸念が高まっており、岸田首相は、海洋放出について安全性に万全を期し、健康や環境に悪影響を与えることはないと説明した。また、仮に処理水の放射性物質の濃度が基準値を超えた場合は放出を中断する方針を伝えた。
放出計画について、国際原子力機関(IAEA)は今月4日、「国際的な安全基準に合致する」などとした包括報告書を公表した。
尹大統領はこのIAEAの報告書を尊重する韓国政府の立場を伝えた。その上で、計画通り海洋放出の全過程が履行されるかどうかに関するモニタリング情報をリアルタイムで共有することと、海洋放出の点検過程における韓国専門家の参加を要請した。
また、会談では、この日北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したこともあり、安全保障面での協力強化策も主な議題となった。両首脳は北朝鮮の発射を非難。尹大統領は「地域と世界の平和を脅かす挑発行為であり、国連全保障理事会決議に明白に違反している」と述べた。岸田首相も、国際社会の平和と安全を脅かすものだと強く非難し、「日米韓が緊密に連携することが必要だ」との考えを示した。
韓国政府の国務調整室のパン・ムンギュ室長は13日、定例記者会見で前日の首脳会談について言及し、「意味のある議論が交わされた」とした上で「尹錫悦大統領は国民の健康と安全が最優先という汚染(処理)水対応の基本的な立場を改めて強調した。政府はそれを履行するため、日本側と早急に協議に着手する予定」と説明した。前述のように、尹大統領は会談で、海洋放出の点検に韓国側の専門家を参加させるよう求めており、聯合ニュースは「問題を議論するための当局協議が近く始まるとみられる」と伝えた。
一方、韓国の最大野党「共に民主党」は会談内容を批判。同党のイ・ソヨン院内報道官は12日、「今回の韓日首脳会談の意味は、岸田首相が尹錫悦大統領から原発汚染(処理)水海洋放流に対して事実上、同意を受けたもの」と指摘した。
また、韓国紙の中央日報は13日付の社説で、処理水の海洋放出問題と前日の首脳会談に関連し、「安全性に対する懸念は両国とも消えていないのが現実だ」とし、「したがって両首脳は科学的に安全だというIAEAの判断とは別に、国民が安心する時まで協力していかなければならない」と論じた。
現政権に批判的なハンギョレ新聞は同日付の社説で「多くの国民は尹大統領に今回の会談で汚染(処理)水の放出に対する国民的懸念を明確に伝え、安全性が明確に確認されるまで放出を中止するよう岸田首相に強く要求することを注文していた」とした上で、「しかし、大統領室が発表した首脳会談の結果のどこを見ても、尹大統領が国民の要求をきちんと反映するために努力した形跡は見当たらない」と指摘。「とにもかくにも『韓米日協力の強化』という新冷戦のドグマに陥り、国民の保護と国益追求という外交の本質を忘却したサイドの外交惨事と言わざるを得ない。もう韓国の大統領が日本の放出を受け入れたのだから、日本は勢いづくだろう。信頼できるものがない韓国国民の憂慮は深い」と報じた。
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