【ソウル聯合ニュース】韓国で1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数が4万人台後半に跳ね上がり、再流行が始まったのではないかとの懸念が出ている。韓国政府は新型コロナの感染症としての位置付けを上から2番目の第2級からインフルエンザと同レベルの第4級に引き下げる防疫措置緩和の2段階目の措置を8月ごろに実施する方針を示しており、高リスク群の保護により神経を使うべきだとの指摘が出ている。 ◇1日の新規感染者数 半年ぶり高水準 中央防疫対策本部によると、7月第3週(7月16~22日)の新規感染者数は25万3825人で、前週に比べ35.8%増加した。増加は4週連続。19日の感染者数は4万7029人で、冬の再流行のピークを過ぎた1月11日(5万4315人)以来の高水準となった。現在の感染拡大の勢いが続けば1日当たりの新規感染者数は遠からず5万人を超えると予想される。 専門家は最近の感染者数増加がマスク着用義務の解除など防疫対策の緩和と繰り返される変異株の出現による免疫力低下が原因だと指摘する。 高麗大九老病院の金宇柱(
キム・ウジュ)教授(感染症内科)は、主流となっているオミクロン株派生型「XBB・1.5」が免疫を回避する能力が高いと説明したうえで、「防疫措置の緩和に伴い当面は(感染者の)増加傾向が続く」と予想した。 嘉泉大の鄭在フン(チョン・ジェフン)教授(予防医学)は先ごろフェイスブックで、既存の免疫を回避する特性を持つ変異株の出現が続き、免疫が形成されたとしても時間の経過で感染予防効果が減少したと指摘。現在の感染者急増は「予見された流行」だと説明した。 政府が、新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(一定期間で繰り返される流行)に移行したことを宣言し、6月に新型コロナの感染症危機警戒レベルを最も高い「深刻」から「警戒」に引き下げてから、積極的に検査を受ける人が減少したことを踏まえると「隠れ感染者」は多いという。 鄭教授は「現在の流行は目に見えている規模よりも大きい。昨年の同じ時期の流行とほぼ同じか少し小さい規模だ。今回の流行では人口の10~15%が感染するだろう」と予想した。金教授も「休暇シーズンでもあり、検査を受ける人が少ない。実際の感染者数が2~3倍多い可能性もある」との見方を示した。 最近、高齢者の新規感染者が急増するなど高リスク群に対する懸念も高まっており、防疫当局も慎重に対応する必要があるとの指摘が出ている。防疫措置緩和の2段階目の措置が実施されれば、病院級以上の医療機関など一部施設で義務付けられているマスク着用義務が解除される。感染者数の集計が打ち切られ、新型コロナの検査費用や治療費は大部分が自己負担(健康保険適用)となる。 マスク着用義務解除による感染拡大への懸念とともに、検査費用などの支援や感染者数の集計打ち切りで「隠れ感染者」が増加する恐れもある。 金教授は「政府のメッセージが国民の警戒心を緩めている。オミクロン株が流行したときも防疫を緩和し、高リスク群の死亡者が増えた」と指摘した。 翰林大の李在甲(イ・ジェガブ)教授(感染症内科)も、感染者数が増えれば重症者や死亡者も増えるしかないとし「(マスク着用の)法的義務が解除されても病院では必ずマスクを着用するよう政府が呼び掛けるべきだ」と述べた。◇高リスク群のワクチン接種率向上が必要 政府は10月にオミクロン株派生型「XBB」に対応したワクチンで予防接種を実施する計画だ。全国民が無料で接種を受けられる。 冬季の追加接種で60歳以上の接種率が34.5%と低調だったため、政府が日常生活への回復を加速させれば接種率が下がる恐れがあるとの懸念も出ている。 これに対し疾病管理庁の関係者は「医療陣と協力して患者にはワクチン接種について積極的に推奨し、インフルエンザの予防接種と同時に新型コロナの予防接種もできるよう便宜を提供する」と述べた。
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