東アジア首脳会議は将来の東アジア共同体の創設を視野に入れた首脳会議。地域や国際社会の重要な問題について首脳間で率直な対話を行い、首脳主導で具体的協力を進展させることを目的とする。2005年12月にマレーシアの首都クアラルンプールで第1回が開かれて以降、ほぼ毎年開催されてきた。東南アジア諸国連合(ASEAN)10 か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)に日本と中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インドが参加し、2011年からは米国とロシアも加わった。
今回18回目を迎えた東アジア首脳会議には、ASEAN加盟国の首脳のほか、日本の岸田文雄首相、韓国の尹錫悦大統領、米国のハリス副大統領、中国の李強首相、ロシアのラブロフ外相らが出席した。
冒頭、議長国インドネシアのジョコ大統領はウクライナ情勢や米中の対立などを念頭に、「サミットを対立が激化する場所にするのではなく、連携や協力を強化する場所にしてほしい」と呼び掛けた。
しかし、会議は大国が自らの主張を繰り広げる応酬となった。ロシアのラブロフ外相は、ウクライナ侵攻で対立を深める米国を改めてけん制。中国の李首相は南シナ海について「域外にある国は南シナ海の平和と安定を守る努力を十分に尊重することを望む」と述べ、ASEANへの関与を強める米国などをけん制した。岸田文雄首相は、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、「一部の国は、日本産水産物の輸入を全面的に一時停止する突出した行動を取っている」と名指しこそ避けたが中国を批判。これに、李首相は日本への直接の言及は避けつつ「海洋汚染の影響は重大だ。歴史や人類に対して責任ある態度で海洋生態環境を守る必要がある」と訴えた。
会談後に発表された議長声明は、大半の国がロシアのウクライナ侵攻を強く非難していると説明し、「戦争が世界中で進行中の食料安全保障の危機をさらに悪化させている」と指摘した。
会議を取材した日韓メディアが注目したのは韓国の尹大統領の発言だ。尹氏は「最近、韓日関係の改善を通じて韓米日3か国の協力が新たな段階に入ったように、韓日中3か国の活性化はASEANプラス3の協力の新たな飛躍に向けた踏み台になるだろう」と述べ、「早期に韓日中首脳会議をはじめとする3か国協力のメカニズムを再開するため、日中政府と緊密に意思疎通していきたい」と表明した。
尹氏は5日に報じられたインドネシアの有力紙コンパスとの書面インタビューでも「韓日中」との表現を使用した。
尹氏も韓国政府も、これまで日本、中国、韓国の3か国の略称について「韓中日」と表現し、昨年の同会議でも尹氏は「韓中日」と呼称していただけに、韓国紙の朝鮮日報は「今年初めから韓日関係の改善を本格化させている尹政権の外交基本路線が反映されたものとの見方が出ている」と伝えた。また、ニュース専門チャンネルYTNは「中国に協力を求めるための外交駆け引きだ」と分析した。
また、韓国大統領室の関係者は、尹氏が今回、「韓日中」との表現を用いた意図について、「今の政権になってから、米国や日本とより緊密な協力が行われているため、『韓日中』と呼んだ」と説明した。
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