朝鮮中央通信は24日、金正恩氏が前日に国家航空宇宙技術総局を訪問し、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」の打ち上げを成功させた科学者や技術者、幹部らを激励したと報じた。5月と8月の打ち上げは失敗に終わっていたが、3回目の試みは「成功」と北朝鮮は発表している。
金正恩氏は「朝鮮民主主義人民共和国に到来した宇宙強国の新時代」に言及し、軍事偵察衛星の保有を「みじんも譲歩できず一瞬も立ち止まることができない正当防衛権の堂々たる行使」と主張した。打ち上げ成功については「敵対勢力の軍事的な企てとうごめきを常時掌握する偵察衛星を宇宙の監視兵として、威力ある照準鏡として配置した驚異的な事変」「わが共和国(北朝鮮)の戦争抑止力を画期的に高めた」とたたえた上で、今後も党が掲げる航空宇宙偵察能力開発の目標に向かってまい進していこうと呼び掛けた。
この目標とは、さらなる偵察衛星の打ち上げを指すとみられる。北朝鮮メディアは22日、前日の打ち上げ成功のニュースとともに「今後早期に数個の偵察衛星を追加発射する」と伝えていた。
朝鮮中央通信によると、金正恩氏はこの日、娘のジュエ氏を伴い国家航空宇宙技術総局を訪問し、金正植(キム・ジョンシク)党中央委員会軍需工業部副部長、国家航空宇宙技術総局のリュ・サンフン局長に迎えられた。
北朝鮮メディアが国家航空宇宙技術総局長のリュ氏に言及するのは初めて。衛星開発事業を指揮してきた人物と推定される。リュ・サンフンという名前は、2012年12月に人工衛星「光明星3号」2号機の打ち上げ成功に貢献し英雄称号を授与された100人の一人として一度だけメディアに登場したことがあり、同一人物と考えられる。
金正恩氏は国家航空宇宙技術総局の関係者だけでなく、「非常設衛星発射準備委員会」の関係者とも会い、「委員会の全成員がわが国家の航空宇宙技術力を急進展させる責任ある事業で今後も新たな成果を成し遂げるだろう」と期待を示した。同委員会は今年4月に軍事偵察衛星1号機の完成が発表された際、金正恩氏が計画通りの打ち上げに向け構成を指示した組織で、主要大学と研究機関の幹部が所属している。
北朝鮮では23日夜、偵察衛星打ち上げ成功を祝う政府主催の宴席が設けられ、金正恩氏は妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏、娘のジュエ氏と共に出席した。妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長の姿も見られた。
主賓は国家航空宇宙技術総局の幹部と科学者、技術者で、金徳訓(キム・ドクフン)首相や崔善姫(チェ・ソンヒ)外相、金正植党副部長、張昌河(チャン・チャンハ)ミサイル総局長らも出席した。
金正恩氏と崔外相を除き、出席者のほとんどが「DPRK NATA 国家航空宇宙技術」のロゴが入ったおそろいのTシャツ姿だった。DPRKは北朝鮮、NATAは国家航空宇宙技術総局の英語の略称だ。
宴会で演説した金首相は、偵察衛星の打ち上げ成功により「共和国の武力の軍事活動行程に新たな局面が開かれた」とし、「全地球圏の打撃能力を保有したわが国の威力が名実ともに世界最強級に強化された」と評価した。
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