A氏は、総合障害の程度は重いが、下肢機能障害は重くない障害者である。2021年の障害程度審査では、歩行上の障害があるとされた。A氏は2020年、ソウル施設公団に障害者コールタクシーの利用申請をしたが、交通弱者法施行規則が定める利用可能な交通弱者に該当しないとして却下された。これに対し、A氏は、ソウル施設公団が関連規定を恣意的に解釈し、利用申請を拒否したことは障害者差別だと主張して裁判を起こした。
ソウル施設公団は、施行規則は「歩行上の障害の程度が重い者であること」を要件としており、利用可能な障害者コールタクシーの台数が限られていることから、利用対象は歩行上の障害が重い者に限るべきだと反論した。また、規定の解釈に関する前例がなく、故意や過失ではないと主張した。
しかし、裁判所はA氏の主張を支持した。裁判所は、「歩行上の障害者」は歩行に影響を及ぼす程度の障害であればよく、程度によって利用制限をかける規定ではないと解釈した。施行規則では、特別交通手段の利用対象は歩行上の障害者、重度の障害者、バス・地下鉄の利用が困難な人など3つの条件を満たす必要がある。
裁判所は「争点は、どんな部位に関する障害であっても重度であれば要件を満たすということだ。必ずしも歩行上の障害が重度であることを求める規定ではない」とし、「歩行上の障害かどうかは保健福祉省の告示に従う。告示では重度かどうかを区別しておらず、重度かどうかを判断する根拠はない」と述べた。また、「障害者差別禁止法の行政手続きやサービスの提供を拒否した行為」とした。
さらに、歩行上の障害の原因となる障害は多様であり、原因障害が重度である場合のみ利用対象に限ることはできないという点も指摘した。裁判所は「障害の部位や種類によって歩行に及ぼす困難の程度は異なる可能性がある」とし、「歩行上の困難の程度とは関係なく、行政の便宜によって障害者を区分し、特別交通手段の提供を異ならせる結果につながる」と述べた。続けて「交通弱者法は移動の自由を保障する規定だ。交通弱者が特別交通手段の利用から排除されないように、利用対象者の範囲を過度に縮小しない必要がある」と強調した。
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