リ氏は北朝鮮の「血盟」と呼ばれるキューバで2度にわたり勤務し、北朝鮮外務省のアフリカ・アラブ・ラテンアメリカ局に所属していた南米通とされる。
脱北前には、韓国とキューバの国交樹立の動きに対応する業務も担当したとみられる。
北朝鮮の対外関係の前哨基地であり、外貨稼ぎの窓口でもある在外公館の外交官が脱北するケースはここ数年、後を絶たない。
代表的なのが在英北朝鮮大使館のナンバー2である公使を務め、2016年8月に脱北した韓国与党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)前国会議員だ。脱北して韓国行きを選んだ外交官の中では現在も最高位だという。
北朝鮮の対西欧外交の重要拠点である在英大使館で、北の体制を西側にアピールする広告塔の役割を担っていた太氏が脱北と韓国行きを選んだことは、当時の韓国社会で大きな関心を集めた。
太氏は同年末の記者会見で「海外で自由民主体制の優越性を実感しながら、インターネットなどを通じて韓国の進化する民主化過程を目の当たりにし、北の政権には未来がないと知った」と語った。
チョ・ソンギル駐イタリア大使代理も現地で消息を絶った後、19年7月に韓国入りした。チョ氏は17年、北朝鮮の核実験を受けてイタリア政府が当時のムン・ジョンナム大使を追放した後、大使代理を務めた。
シリアやクウェートなどで勤務したリュ・ヒョヌ駐クウェート大使代理も家族と共に脱北し、19年9月に韓国入りした。
外交官の脱北が続いているのは、金正恩(キム・ジョンウン)体制に嫌気が差したエリート層がそれだけ増えている兆候だという見方が出ている。海外で勤務する外交官は、北朝鮮内のエリートに比べて脱北しやすいという面もある。
北朝鮮からの直接の脱北は、新型コロナウイルス対策による国境封鎖期間を経て当局が管理を強化したことでさらに難しくなった。韓国に入国する脱北者の数も、03~11年の年間2000~3000人から22年には67人、昨年は196人に減少した。
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