北朝鮮は2021年の東京五輪に、新型コロナの流行などを理由に一方的に不参加を決めたことにより、国際オリンピック委員会(IOC)から2022年末まで国際大会への出場資格停止処分を受けた。その後、処分が解け、昨秋に中国・杭州で行われたアジア大会から再び国際大会に出場し始めるようになった。アジア大会に北朝鮮は190人超の選手を送り込み、サッカーや卓球、体操、射撃などの競技に出場。金メダル11個、銀メダル18個、銅メダル10個を獲得し、総合10位だった。大会では、サッカー男子準々決勝で日本に敗れた後の北朝鮮代表の行動が波紋を呼んだりもした。勝負を分けたPKの判定に納得がいかなかったのか、試合直後、北朝鮮の選手たちが一斉に審判団のもとに詰め寄って猛抗議。一部の選手は止めに入ったが、ヒートアップした選手が主審を腕で押しのける行為をした。大会スタッフがピッチに駆け込んで制止する異例の事態となった。
8年ぶりの北朝鮮の五輪出場に、海外メディアは選手団が先月20日にピョンヤン(平壌)を出発した時から注目した。経由地の中国の空港では胸に北朝鮮の国旗がついた白ジャケットに、青いスカートやパンツ姿の選手たちが報道陣のカメラに捉えられたが、記者らの問いかけには無言を貫いた。一行は21日にパリの空港に到着。選手村の宿舎に入ったが、韓国・聯合ニュースは24日にこれを伝えた際、「練習以外で北朝鮮選手の姿を見ることは難しく、カートに乗って移動する様子のみ捉えられた」と北朝鮮選手団の現地での様子を紹介。聯合によると、韓国の選手は取材に「食堂でも北の選手と会ったことはない」と話した。一方、26日の開会式の船上パレードで、北朝鮮の選手らは笑顔を見せ大きく手を振った。旗手は飛び込み男子のイム・ヨンミョン、柔道女子のムン・ソンヒが務めた。
ベールに包まれたままフランスの地を踏んだ北朝鮮だが、国際大会ではほとんど実績がない伏兵ペアが、卓球の混合ダブルスで堂々の銀メダルを獲得し、世界を驚かせた。リ・ジョンシク、キム・グムヨン組は1回戦で日本の張本智和・早田ひな組と対戦し、第1セットでいきなり6連続ポイントを奪うなど終始圧倒。4-1で勝利した。張本選手は試合後、「想定以上のプレーをされたかなと思う」と振り返った。北朝鮮ペアはその後も快進撃を続けて決勝へ。30日、決勝が行われ、世界1位の中国のワンチューチン、スンイーシャ組と対戦。第1ゲームは6-11で落としたが、第2ゲームは反撃して11-7。第3、4ゲームを連取され追い込まれたが、第5ゲームは奪い返した。2-4で敗れはしたものの、自国に今大会第1号のメダルをもたらした。試合後は北朝鮮の国旗を誇らしげに掲げていた。表彰式では、銅メダルの韓国選手からの「自撮り」の呼びかけに応じる場面もあった。リ選手の表情は硬かったが、キム選手は終始笑顔を見せた。メダリストを対象にした、その記者会見で、キム選手は「次は金メダルを取れるように、もっと強くなりたい」と語った一方、リ選手は多くを語らなかった。
パリ五輪に北朝鮮は卓球、レスリング、ボクシング、飛び込みなどに計16人の選手を送り込んでいる。北朝鮮選手の情報は少なく、国際大会への出場機会も多くないことから真の実力が測りづらい。この後も番狂わせを演じてくるのか、侮れない存在になっている。
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