国の情報機関による盗聴事件を捜査していたソウル中央地検は14日、捜査結果を発表した。それによると、金泳三(キム・ヨンサム)政権当時に国家安全企画部(現国家情報院)の盗聴チームが収集した盗聴情報が、安企部の大統領週例報告書の内容に盛り込まれていた。盗聴によって得られた情報は、金元大統領の二男、賢哲(ヒョンチョル)氏や、青瓦台(大統領府)政務首席秘書官ら、政権内部の実力者らにも報告されていた。盗聴チームは金泳三政権発足後3年間にわたりソウル市内の料亭、ホテル内レストラン、ゴルフ場などで国内の重要人物に対する盗聴活動を行い、その数は1170件、対象者は延べ5400人に上った。
 検察が押収した「Xファイル」と呼ばれる盗聴テープに対話が収録されていたのは、政治家273人と高官84人、マスコミ関係者75人、財界関係者57人など646人で、大統領選挙の動向と政党活動など、政界の動きが主な盗聴対象だったことが確認された。盗聴対象には首相のほか、与野党の代表、青瓦台の首席秘書官だけでなく、大統領の子息も含まれていた。

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 金大中(キム・デジュン)政権当時にも携帯電話の不正なモニタリングにより得た情報が大統領への報告書に含まれていた可能性があるが、報告書そのものはさまざまな情報を総合して作成したものであることから、大統領は不正な盗聴・モニタリングの事実を知らなかったものと判断した。また、2002年4月に国家情報院が携帯電話のモニタリング装備を廃棄してからは、携帯電話の不正モニタリングだけでなく、合法的なモニタリングもされていないと結論付けた。

 一方、サムスングループの財務チーム長が秘書室長の指示で大統領選挙を控えた1997年9月から10月にかけ、李会昌(イ・フェチャン)候補の弟に40億~50億ウォンを渡したことが確認された。サムスン側は資金の出所について、系列会社の機密費としていた当初の陳述を変え、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の個人資産だと主張した。検察はサムスン電子など系列21社の会計資料を分析し、米国滞在中の李会長に対しても85項目について書面調査を行ったが、資金が秘密資金だったとの証拠は確保できなかった。不正な選挙資金提供については公訴時効が過ぎていることから、サムスン側から李会昌候補に渡った金額の規模については確定できず、李会長、李鶴洙(イ・ハクス)副会長、洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)前駐米大使についてはすべて嫌疑なしとする処分を下した。

 1997年に起亜自動車社の買収をめぐり、サムスンが大統領候補らと姜慶植(カン・ギョンシク)副首相(当時)らに金品によるロビー活動を行ったとする告発については、李鶴洙副会長が金品の提供を否認しており、捜査の糸口もつかめていないことから、これも嫌疑なしとの結論を下した。法務部長官や検察幹部らにサムスンが「モチ代」として金品を提供したとされる事件も、容疑を認められる証拠がなく、告発内容が事実でも収賄罪の公訴時効が過ぎていることから処罰対象にはならないと判断された。

 検察はただ、「Xファイル」の内容を報道したMBCのイ・サンホ記者と月刊朝鮮のキム・ヨングァン編集長については、「不正な盗聴の内容であると知りながら報道した行為は法律違反」とし、通信秘密保護法違反の容疑で在宅のまま起訴した。国家情報院長を務めた林東源(イム・ドンウォン)、辛建(シン・ゴン)氏や、盗聴チーム長を務めたコン・ウニョン氏らについては起訴猶予とし、その他の実務者については不起訴処分とした。

 今回の捜査結果発表により、Xファイル関連報道と市民団体の告発により社会を揺るがした盗聴事件は143日間にわたる捜査が一段落した。


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