クリントン元大統領と尹大統領の違い=韓国報道
クリントン元大統領と尹大統領の違い=韓国報道
「問題は経済だよ、バカ!」(It's the economy、stupid!)という伝説的なスローガンを残した米国のクリントン元大統領。彼は1992年の米大統領選挙で、皆の予想に反し、現職のブッシュ大統領を破って当選したが、その後の政治環境は容易ではなかった。2年後に行われた中間選挙で野党だった共和党が圧勝し、上・下院を全て占める与小野大局面を迎えた。在任への挑戦を控え、困難な状況に直面した彼が選択したのは、まさに野党とのガバナンスだった。

 彼は60年間続いてきた米国の福祉制度を変える福祉改革法と関連して、共和党と方法論で大きな違いを見せたが、減税法案を譲歩するなど政治力を発揮し、結局超党的な支持を引き出した。野党との交渉を通じた中道的な政策で多くの支持を引き出した彼は、退任する時の支持率が60%をはるかに超え、歴代米大統領の中で最も高かった。

 任期の折り返し点に立った韓国のユン・ソクヨル政権は危ない状況にある。不法スキャンダルとキム・ゴンヒ夫人の国政介入疑惑などの影響て、ユン大統領の支持率は就任後最も低い10%半ばまで下がった。パク・クネ大統領当時、国政壟断事態の始発点になったタブレットPCが暴露された当時の支持率と同じ水準という点で、状況はかなり深刻だ。国民の怒りは臨界点に達し、野党はあらゆる術数を動員して弾劾に照準を合わせている。

 現在の危機的状況を国会のせい、前政権のせいにするのはもはや言い訳にしか聞こえない。今年、ユン大統領は1987年の民主化以来初めて国会開会式に出席しなかったのに続き、国会予算案の施政演説にも出席しなかった。先立ってチョン・ジンソク大統領秘書室長は9月、大統領室全職員と朝会の席で「私が演説に行かないほうがいいと言った」と誇らしげに話した。ユン大統領も7日の記者会見で、「野党も礼儀を守らなければならない。 大統領に恥をかかせようとする行動は、政治を殺そうという話だ」と不快感を示した。

 このような態度と姿勢は、毎回口癖のように「国民と民生を最優先」と叫ぶことと相反する二律背反的な姿だ。「民生のため」という国政課題が多数含まれた政府立法の通過率は、前の任期前半期の歴代政府の中で最低の30%を下回り、野党の反対で来年の政府予算案一部が削減され、執行が遅れれば、結局国民が被害を受けることになる。

 30ヵ月残った任期の間、ユン大統領が選択できるカードは多くない。4+1改革(労働・年金・教育・医療改革・少子化)について、国民の支持を受けて国会を説得し、推進動力を再び得るには、残った時間も現実的な条件も厳しいというのが大方の見方だ。雄大な改革を推進するよりは、民心に熱心に耳を傾けながら、達成可能な効用性の高い政策を推進しなければならない。そのためには、とりあえず好むと好まざるとにかかわらず、野党と会って対話しなければならない。リーダーシップの要諦は説得力だ。今こそ大統領の政治を見せる時だ。
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