オーボエの音色がジョンヒョン(SHINee)さんの声に…K-POPと出会ったクラシックが新たなジャンルを開拓
オーボエの音色がジョンヒョン(SHINee)さんの声に…K-POPと出会ったクラシックが新たなジャンルを開拓
木管楽器と金管楽器が「Red Velvet」の「Psycho」を鳥のように歌い、温かい音色のオーボエがジョンヒョン(SHINee)さんの声に代わって「一日の終わり」を歌う。強力な“猛毒”を持った「Black Mamba」が芸術の殿堂コンサートホールの合唱席の壁面を速く動かすと、ピアノの旋律が前衛的に踊りながら冒険の世界に導く。

ジョンヒョン(SHINee) の最新ニュースまとめ

完全に「新しいジャンル」が誕生した。「K-POPの始まり」であり「すべて」と呼ばれるSMエンタテインメントの長年の遺産がクラシックと出会うと「音楽の新世界」が開かれた。「最高」と「最高」の出会いだったと断言できる。K-POPのトップにいるSMエンタとK-クラシックのトップにいるソウル市立交響楽団が出会って作り出したのだ。

「SM CLASSICS LIVE 2025 with ソウル市立交響楽団」が、今月14日にソウル芸術の殿堂コンサートホール、15日にロッテコンサートホールで開かれた。今回の公演はSMエンタ創立30周年とソウル市響の創立80周年、財団法人設立20周年を記念したものだった。

これまで大衆音楽とクラシックの出会いは少なくなかった。早くから世界的なメタルロックバンド「メタリカ」とサンフランシスコ・シンフォニーの出会いを皮切りに、大衆音楽は特別なイベントがある時にクラシックとの出会いを試みてきた。これまでは大衆音楽のメロディーをオーケストラが演奏するのが一般的だったとすると、今回は違う。国内エンターテインメント社唯一のクラシックレーベルであるSMエンタテインメント傘下のSM CLASSICSが多方面で活動するクラシック基盤の作曲家たちとこの5年間編曲作業をしながら積み上げてきたオーケストラバージョンのSMエンタの名曲18曲を聞くものだったのだ。クラシック、国楽管弦楽など多方面で活動するキム・ユウォンがソウル市響を指揮した。

今回の公演は、ソウル市交響楽団の定期演奏会の既存の観客層とも著しい違いを見せた。チケット前売りサイトのインターパークに今回の公演(2月14日現在)は、20代が40.8%、30代が43.4%もアクセスした。会場には従来のSMエンタの歌手のコンサートらしく、外国人客も目についた。香港から飛んできたというジェイロンさん(25)は「『NCT』のファンだが、他のSMエンタの音楽やアーティストも好き。オーケストラバージョンを聞くととても新鮮でK-POPがこのように変わることもありうるという点が驚いて、直接聞こうと思って来た」と語った。

公演では2020年SM CLASSICSが出した最初の曲である「Red Velvet」の「Red Flavor」オーケストラバージョンを皮切りに、これまでソウル市響と共に作業した曲を集めて発売したフルアルバム「Across The New World」の収録曲やまだ公開されたことのない曲でプログラムを構成した。

公演は「SHINee」のミンホが登場し、荘厳な新しいジャンルの世界に招待するナレーションとともに幕を上げた。SMエンタの世界観に入っていくような曲の「Welcome To SMCU Palace」がオペラの序曲のようにコンサートの幕を開き、まもなくして「赤い味」が演奏された。

「Red Velvet」の代表的な夏の曲である「Red Flavor」では、メンバーの声を甘い木管の音で奏でた。リズミカルな打楽演奏で速いダンス曲のラッピングまで蘇らせた団員たちは、楽器を握ったままフィンガースナップまで聞かせながら、耳と目で楽しませた。初々しいときめきが込められている最後の歌詞には切なさが深まった。ソウル市交響楽団のWayne Lin副楽長(第1ヴァイオリン)が演奏、「私が1番好きなのは夏のあなた」という歌詞だったという。

ドビュッシーの「月の光」をサンプリングしてオーボエとクラリネットの旋律で演奏した故ジョンヒョンさんの「一日の終わり」は「シャウォル」(「SHINee」のファン名『SHINeeワールド』の略)はもちろん、この日公演に参加したSMエンタ関係者たちの涙ボタンを押した。「お疲れさまでした、本当にお疲れさまでした、あなたは私の誇りです」という歌詞が壁面をいっぱいに満たす時は目を赤くする観客も少なくなかった。

公演の構成方法も際立っていた。プログラムに名を載せた18曲は概して強烈な演奏を基盤にしただけに、続けて聞くこと自体が観客には疲労感を与える恐れもあったが、公演では3曲ずつ切って演奏して観客に少しずつ息をする暇を与えた。速い展開のダンス音楽の比重が高いが、3、4曲に1局ずつバラードを入れた点も耳を休ませるポイントになった。

それぞれの曲に聞く楽しさがあった。音楽は既存の曲の魅力を生かしながらも、全く違う編曲を披露したものもあった。「aespa」の「Black Mamba」はサビのポイントを生かしながらも古典音楽と現代音楽を行き来する変奏で変わった雰囲気を演出した。

いくつかの曲はクラシックとK-POPの出会いが印象的に行われた。「EXO」の「Growl」にはベートーヴェンの交響曲「運命」が、「Red Velvet」の「Psycho」にはラフマニノフの交響曲第2番が、「東方神起」の「Rising Sun」はヴィヴァルディの協奏曲第2番ト短調 RV 315「夏」の第3楽章と会った。アンコール曲で演奏した「H.O.T」の「光」はベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」と調和した。「光」と「合唱」の出会いはさらに絶妙だった。実際、「合唱」の構成のように主要モチーフが「光」の序幕を知らせながら登場し、そっとクライマックスを照らして曲の末尾を飾った。いわゆる「SMエンタ愛国歌」と呼ばれ、SMタウンコンサートの最後を飾る「光」と人類の希望歌である「合唱」の出会いは長い時間を続けて新しい出発を知らせるように雄大で意味深だった。

2時間にわたる公演を通じて名実共に「最高」を誇るソウル市立交響楽団員たちの演奏力を改めて立証した場となった。実はSMクラシックを通じて披露したオーケストラバージョンのK-POPは「ライブ公演」のための演奏曲ではない。パク・インヨン、カン・ハンメ、イ・グァンイル、チョン・ジウォン、チェ・ヒョクリョル、チョ・インウなど作曲家たちが曲を1つ1つ解体し、極強の難易度で新しく披露した曲だ。それぞれの楽器が具現しなければならない究極のテクニックと高音が位置し、既存オーケストラでは調味料のように入っていた金管楽器の饗宴が続く。そこに打楽器が精巧なリズムを合わせて休む間もなく爆発し、各パートのソロが滑らかな音を出さなければならない。ソウル市交響楽団員のキム・ミヨンは特に「すべての楽器があたかも機械のように同じ音と同じリズムを演奏するということが決して容易なことではなかった」と明かした。

最初のリハーサル直後は「目が抜けるほど楽譜を見るのに忙しかった」と言っていたソウル市立交響楽団員たちは3回のリハーサルで最高レベルの演奏を聞かせてくれた。「Red Flavor」はもちろん「少女時代」の「Into The New World 」、「Red Velvet」の「Feel My Rhythm」など究極の高音を甘美に聞かせてくれたWayne Lin副楽長のソロパートで随所に終えられた音楽はただのK-POPのオーケストラ演奏を越えてもう1つの新しいジャンルに拡張した。

クラシック音楽キュレーターのイ・サンミンは「K-POPが世界的に拡張される時にオーケストラバージョンで披露する試みが非常に興味深く面白かった」として「古典音楽のサンプリングをした曲の中には多少ぎこちなく感じられる曲もあったが、果敢で変わった挑戦を高く評価する」と評価。それと共に「ただし既存曲をもう少し説明できる映像などをメディアアートとして活用したら観客により親切な公演になったと思う」と指摘した。

今回の公演と共にSM CLASSICSは公演・楽譜IPライセンス事業を本格的に推進し、全世界でK-POPのオーケストラバージョンを披露していく。来年はウィーン・シンフォニーとの出会いが待っている。
Copyrights(C) Herald wowkorea.jp 5