ウォン安・ドル高が続いているにもかかわらず金融通貨委が追加利下げのカードを切ったのは、韓国経済が国内外の悪材料の中で急速に勢いを失っていると判断したためだ。
韓銀はこの日、米国の第2次トランプ政権の関税政策や尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による「非常戒厳」宣言以降の国内の政情不安などを踏まえ、今年の経済成長率見通しを1.9%から1.5%へと大幅に引き下げた。
このような中、利下げを行って市中に資金を供給し、民間消費や投資など内需を活性化させることで韓国経済の下降速度をある程度遅らせることができると見込んだとみられる。
金融通貨委は昨年10月、政策金利を0.25%引き下げて約3年ぶりに金融緩和に転じ、11月にも市場の予想に反して追加利下げに踏み切った。
2会合連続の利下げは、リーマン・ショック後の6会合連続利下げ(2008年10月~09年2月)以来で、それだけ景気・成長低迷の兆候が鮮明になったといえる。
さらに、尹大統領の非常戒厳宣言と弾劾訴追も重なって昨年末から消費や投資など内需の冷え込みに対する懸念が深まり、3会合連続での利下げによる景気浮揚を促す声も高まった。
しかし、金融通貨委は先月の会合で市場の期待に反して政策金利を年3.0%で据え置き。国内の政情不安で急上昇した為替リスクなどをその根拠に挙げた。
その後、景気・成長指標が予想以上に悪化し、韓国の主力輸出品である自動車や半導体などに米国が10~25%の高い関税を課す可能性も高まっている。
これを受け、国内外の機関は今年の韓国の経済成長率見通しを相次いで引き下げている。韓国開発研究院(KDI)が11日、今年の見通しを2.0%から1.6%に引き下げたのに続き、海外の主要投資銀行の見通しの平均も戒厳前の2.0%から1.6%まで下落した。
韓銀が今年の経済成長率見通しを1.5%まで引き下げた中、金融通貨委も「利子負担を軽減してこそ民間消費・投資が回復し、自営業者や社会的弱者の暮らしが改善する」という圧力を2カ月連続で無視するのは難しかったようだ。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が関税引き上げに伴うインフレを憂慮して利下げをためらう中で韓銀のみが利下げを続ければ、米国との金利差が拡大してウォン安や物価上昇が続き、外国人投資家の資金が流出することが懸念される。
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