大韓体育会のユ・スンミン会長
大韓体育会のユ・スンミン会長
韓国オリンピック委員会(大韓体育会)が先月、2036年夏季五輪・パラリンピックの国内候補地を南西部のチョルラプクト(全羅北道)に決定した中、大韓体育会が五輪招致実現へ本格始動する。韓国メディアによると、大韓体育会のユ・スンミン会長が来月8日、スイスで国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と面会し、36年五輪開催地の全羅北道の立候補を伝える。体育会は「五輪招致に向け、IOC会長との直接面談を推進し、実現させたのは異例中の異例」としている。通信社の聯合ニュースは「今回の面談を契機に、政府、招致申請都市、スポーツ界が協力して五輪招致活動を本格化する計画だ」と伝えた。

韓国内の候補地は、先月28日、ソウル市内で開かれたオリンピック委員会の総会において、投票により決定した。国内候補地としてはソウル市も名乗りを上げていたが、敗れた。同市は昨年12月、オ・セフン(呉世勲)市長が、自身のSNSを通じ、同市の2036年夏季五輪の開催実現のため、その活動に本格的に乗り出すと明らかにした。ソウルは1988年に夏季五輪を開催。2度目を目指し、呉氏は当時SNSに「1988年のソウルオリンピックが、韓国の底力と可能性を見せた歴史的瞬間だったとしたら、2036年のソウルオリンピックは、ソフトパワーと未来のビジョンを提示する、もう一つの歴史的一里塚になる」とアピールした。

一方、全羅北道は「国家均衡発展」を主張し、「地方都市連帯」を前面に掲げた開催計画を構築。各競技の会場を隣接都市に分散して開催する計画を打ち出した。これはIOCが目指す、隣接都市の連帯を通じた費用削減の要求に合致し、首都圏に集中したインフラ・経済力の分散により、均衡発展に新しいモデルを提示できるとPRした。

国内候補地を選ぶ投票に先立ち、全羅北道とソウル市はプレゼンテーションを行い、支持を訴えた。全羅北道はキム・グァンヨン知事、ソウル市は呉市長が自らプレゼンテーターを務めた。投票の結果、全羅北道49票、ソウル市11票で、全羅北道がソウル市を大差で破って国内候補地に選ばれた。

36年五輪には、韓国のほか、インドやインドネシア、トルコなどが招致に関心を示している。中でもインドは、2023年10月にモディ首相がインド・ムンバイで開かれたIOC総会で直接、IOC委員を前に36年五輪の招致を目指す考えを示した。そして23年11月、インドオリンピック委員会(IOA)は、36年五輪の開催地として立候補することを正式に表明した。開催都市は、モディ首相の出身地である西部グジャラート州最大の都市、アーメダバードが有力視されている。開催されれば、インドでは夏冬を通じて初めての五輪となる。新興・途上国「グローバルサウス」の盟主を自認するインドとしては、五輪開催により、国力とさらなる存在感の向上につなげたい思惑がある。韓国にとって最大のライバルとなりそうだ。「オイルマネー」を前面に出した中東諸国の今後の動きも注目される。中東では、カタールのドーハ、サウジアラビアなどが五輪開催候補地として名乗りを上げる可能性がある。

韓国は1988年のソウル五輪以来、48年ぶりとなる夏季五輪の開催を目指しているわけだが、こうした中、大韓体育会のユ会長が、来月、IOCのバッハ会長と面会する見通しとなった。聯合ニュースが伝えたところによると、面会には、政府関係者と国内候補地に決定した全北特別自治道の関係者も同行し、五輪招致に向けた政府と地方自治体の全面的なサポートを強調するという。

ユ氏は先月、大韓体育会(韓国オリンピック委員会)の会長に就任した。2004年アテネ五輪の金メダリストで、2013年に現役を引退した後、IOCのアスリート委員として活動。昨年2月には、南部の釜山で開催された卓球の世界選手権を成功に導いた。韓国紙の毎日経済によると、ユ氏は先月、同紙のインタビューに応じ、「IOCはスポーツに対する国民の情熱と選手たちの競技力、メガイベントの開催能力など、韓国の力量を高く評価している」と指摘。「韓国も1998年のソウル五輪を経て、再び夏季五輪を誘致する時が来たと思う」と招致実現に意欲を示した。

一方、IOCは今月20日、新会長に、アフリカのジンバブエ出身のカースティ・コベントリー氏を選出した。ユ氏はコベントリー氏とは2016~21年まで、IOCアスリート委員として一緒に活動した縁があるという。

36年夏季五輪の開催地は2027年までに決定する。ユ氏のバッハ氏との面会に先立ち、今月12日には、韓国政府と体育会、全羅北道の関係者で構成する夏季五輪招致実務推進団が初会合を開催。大会招致手続きと今後の日程について協議した。

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