「必須補正予算」と名付けられた今回の補正予算は政府が当初提示した規模より約2兆ウォン増え、▼災害対応に3兆2000億ウォン▼通商・人工知能(AI)支援に4兆4000億ウォン▼小規模事業者・社会的弱者支援に4兆3000億ウォン――がそれぞれ投入される。
また、大規模な山火事被害や夏季の台風・集中豪雨などに対応するため、昨年国会で減額された予備費1兆4000億ウォンを増額する。
企画財政部の金潤相(キム・ユンサン)第2次官は、「今回の必須補正予算は山火事被害などの災害対応、通商・AI競争力の強化、国民生活の回復・安定という経済の押し迫った懸案に迅速に対応する目的」があると説明した。
このほか、国債の利子などのために約2000億ウォンを割り当てた。
また、韓国通貨ウォンの為替レートの急激な変動への対応力を高めるため「外貨建て外国為替平衡基金債券」の発行限度額を現在の12億ドルから35億ドルに増額する。これにより、世界金融危機時の2009年(60億ドル)以降では最大規模のドルを確保することになる。
補正予算の財源としては、基金資金をはじめとする使用可能な財源4兆1000億ウォンを投入し、残りの8兆1000億ウォンは国債の発行によって賄う。
財政赤字の規模はその分膨らむことになる。国の債務残高は約6兆ウォン増の1279兆ウォンとなり、国内総生産(GDP)比では48.4%になる。政府の実質的な財政状態を示す管理財政収支の赤字は10兆9000億ウォン増の84兆7000億ウォンとなる。GDP比の赤字率は2.8%から3.2%に上昇し、財政規則限度(3%)を上回る。
今年の総支出は当初の673兆3000億ウォンから685兆5000億ウォンに増える。前年比の総支出増加率も2.5%から4.4%に上昇する。
総収入は韓国銀行(中央銀行)余剰金の超過収納分、地方債の利子収入などが反映され、651兆6000億ウォンから652兆8000億ウォンに増加する。
政府は、今回の補正予算の成長率引き上げ効果は0.1ポイント程度と予想した。1~3月期はマイナス成長となる見通しが出ているなか、「景気回復の呼び水」には遠く及ばないのではないかとの指摘が出ている。
政府は、災害や関税対応、小規模事業者・社会的弱者の支援も間接的に内需景気に影響を及ぼす可能性はあるが、景気対応を目的に補正予算を編成したわけではないとの立場だ。
金次官は「補正予算の他にも(財源が)必要な場合、基金変更など追加の財源補強策を引き続き検討する」と述べた。
補正予算の規模は国会での議論などによって多少増える可能性もある。最大野党「共に民主党」は少なくとも15兆ウォンまで増額が必要との立場を示しており、国会も柔軟に対応する方針だ。
金次官は「経済のゴールデンタイムを逃さないよう、国会が補正予算案を最大限迅速に可決させることを要請する」と強調した。
政府は22日、国会に補正予算案を提出する予定だ。
補正予算の編成は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の発足直後以来約3年ぶりとなる。
政府は22年5月、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の長期化で被害を受けた小規模事業者・自営業者の損失を補償するために59兆ウォンの補正予算を編成。62兆ウォン規模で国会で可決された。
今月4日の憲法裁判所の決定で尹前大統領が罷免され、大統領権限代行体制での補正予算の編成は史上初となる。
16~17年に朴槿恵(パク・クネ)元大統領が弾劾訴追された際も政界を中心に補正予算が議論されたが編成には至らず、文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足後に編成された。
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