小栗康平監督=6日、ソウル(聯合)
小栗康平監督=6日、ソウル(聯合)
ソウルのアートハウスMOMOで6日から、小栗康平監督作品を上映する映画祭が開催されている。小栗監督がデビュー後の27年間で手がけたのはわずか5作品。それでも日本の代表的な作家主義監督に挙げられるのは、ほかの映画では見られないスタイルと作品の描き方をかたくなに守り続けているからだ。アシアナ国際短編映画祭で審査委員長を務めるために訪韓した小栗監督と、6日に会った。

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小栗監督は、さまざまな比喩と哲学的表現を交えながら映画に対する価値観を語った。「人を撮るとき、まず話す姿を撮るべきか、表情と姿を撮るべきか考えなければななりません。映画とはドラマを追求するため葛藤を表現しようとしますが、日常では葛藤はそう簡単に表に出てきません。何を感じるかを先に見せ、それから葛藤を描かなくてはなりませんが、商業映画では順序が変わる場合が多いですね」

小栗監督は、監督が映画を作り、観客が映画を見るとき、「見る」と「感じる」の問題が重要だと指摘する。存在するものを見せるには言語的に説明するより、見る人が感じ取るようにしなければならないという。このときの「感じ」とは視覚的刺激を与えるという意味ではなく、感覚を目覚めさせるという意味だ。

小栗監督の作品には日本的な風景と日本人の暮らしが色濃く映し出されているが、西欧の有力な映画祭でも親しまれてきた。デビュー作の『泥の河』(1981年)は<モスクワ映画祭>で銀賞を受賞し、『伽や子のために』(1984年)はフランスのジョルジュ・サドゥール賞に輝いた。『死の棘』(1990年)は<カンヌ国際映画祭>でグランプリ・カンヌを、『眠る男』(1994年)は<モントリオール世界映画祭>で審査員特別大賞を獲得した。

韓国との縁も深い。『伽や子のために』は在日同胞を主人公とする小説を原作にしており、『眠る男』では俳優のアン・ソンギを主演に起用した。韓国の数多くの監督らと交流しているだけでなく、夫人も在日同胞だ。「おかしな話ですが、日本の監督がどんな作品を作っているのかは関心がなくても、イ・チャンドン監督やパク・クァンス監督が次にどんな作品を作るのかには胸がドキドキします(笑)。以前、イ監督の『オアシス』を見たときはびっくりして刺激も受けました」

5日から開催されている<アシアナ国際短編映画祭>では、「映像が持つ力を一瞬にして表現しているか」を基準に審査するという。「短編映画は長編より自由なストーリー展開が可能なため瞬間的に大きな力を発揮できます。また、実験性が加味されているかも審査すべきでしょう。今回の映画祭で、長編の力を超える短編作品に出会いたいです」と期待を示した。
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