笑顔で心境を語るキム・ヨナ=29日、ロサンゼルス(聯合ニュース)
笑顔で心境を語るキム・ヨナ=29日、ロサンゼルス(聯合ニュース)
【ロサンゼルス29日聯合ニュース】今季はキム・ヨナの13年間のフィギュアスケート人生で絶対に忘れることのできない時間として記憶されるはずだ。2006年のシニア参戦以来初めてけがのない完ぺきな状態で、グランプリ(GP)シリーズで2回、4大陸選手権、最高権威の世界選手権大会まで席巻した。GPファイナルでの成績は準優勝だが、シーズン中に参加可能なすべてのメジャー大会に出場し最上の成績を収めたことだけでも、フィギュア選手として最高峰に上り詰めたと認められるのにふさわしい。
 キムは29日、米カリフォニア州・ロサンゼルスのステープルズ・センターでエキシビションの前に取材陣と会い、「過去2年間はコンディションがよくなく優勝を逃した。だれもが表彰台の頂上に立ちたがる。今回優秀できなかったら失望が大きかっただろう」と強調した。

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キムがシニア転向後に夢みていた最高目標は、世界選手権大会での優勝だった。しかし、その夢をかなえたキムに新たな目標ができた。2010年バンクーバー冬季五輪での金メダルだ。キムは五輪チャンピオンは全選手の夢だとした上で、おそらく金メダルを首にかければそれ以上望むものはなく、今回以上に泣いてしまうはずだと話した。

 では、引退時期についてはどう考えているのだろうか。これについてキムは、五輪舞台で頂点に立てば選手生活を続ける必要性があるのかと思ったりもするが、まだ深くは考えてはいないと答えた。引退してもプロに転向しアイスショーに出演するなど、やるべきことはフィギュアだけだという。また、指導者として若い選手らを教えたい気持ちもあると付け加えた。

 キムは、フィギュアの舞台では世界トップの「クイーン」だが、アイスリンクを離れると18歳の大学生だ。長いシーズンを終えたキムは31日に帰国し、40日間余りの短い休みを取る。

 キムが最もやりたいことは何か。「何でも全部食べたい。これまで我慢した分だけ食べたい」。また、カナダ・トロント滞在中には毎日同じ人の顔しか見られないため、帰国すれば友人に会いたいと話した。「本当に韓国に行きたい。トロントで毎日、宿所とスケート場を往来する生活をしていたため、楽しみがない」と大きく笑った。

 今大会直前、ロサンゼルスで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝戦で韓国が日本に敗れ、自然に「同い年のライバル」浅田真央との韓日フィギュア対戦にもファンの関心が集まった。このため、韓日の取材陣をはじめ外信も2人のライバル関係を大きく取り上げ、客席でも在米の韓国人と日本人の応援戦が繰り広げられた。結局、世界最高得点の207.71点を記録したキムが、188.09点にとどまった浅田を退け優勝メダルを手にした。キムは「どんな大会でも選手らは互いを警戒する。浅田選手とは試合終了後にあいさつを交わした。おめでとうと言われたし、お互いを激励した」と説明した。

 フィギュア選手としての知名度が上がり、キムはもはや一般人ではなく公人として扱われるようになった。街に出るとファンのサイン攻めに遭うため一人では自由に出かけられない。キムは韓国ではマスクで顔を隠していたという。「そうしないと、私が不便だった。たまには一般人のように歩き回りたい時がある」と苦笑いを見せた。  

 インターネットでささいなことまで取り上げられ負担になる場合もあると明かした。選手としてはプラスになることもあるが、もっと重要なことを失い過ごしているのではないかと心配にもなるという。キムはしかし、いつも応援してくれるファンがいなかったら1人で孤独に戦わなければならなかったとし、常に頑張れるよう励ましてくれるファンに感謝したいと強調した。

 「定石ジャンプ」「教科書ジャンプ」と賛辞を浴びていたキムだが、今シーズンはフリップジャンプでエッジ(スケートの刃)使用に注意を求めるアテンションマークが付き続けた。ある大会では問題がなかったり別の大会では指摘があったりと、判定に一貫性がなかった。しかし、バンクーバー冬季五輪を11か月後に控え、ジャンプのコンビネーションを変える選択を下した。今シーズンは3回転ルッツ~3回転トゥループのコンビネーションジャンプを練習してきたが、むしろ3回転フリップを入れた時より楽に感じたという。3回転フリップは単独ジャンプでこなし、3回転ルッツをコンビネーションジャンプに取り入れる方法が有利になるようだと説明した。

 昨年10月から半年にわたるシーズンを終えたキムは、韓国滞在期間中は休養と運動を並行しながら、広告撮影など忙しい日程をこなし、5月10日に合宿地のカナダ・トロントに向かう。

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