キム・テウ の最新ニュースまとめ
撮影当日に脚本を書くというホン監督のスタイルはよく知られているが、今回はより一層「現場性」が強かった。「もっとオープンにしたい」という監督の意図から、事前にあらすじも知らない白紙状態でのクランクインとなった。キム・テウは「今回は本当に何も知らないスタートでした。『よく知りもしない』ではなく、『まったく知らない』で撮影に入りました」と語る。ストーリーテラーとなる芸術映画監督のク・ギョンナムを演じたが、キャラクター分析や構築などはなく、特別に演技の準備をするでもなく「数週間合宿生活を送りながら撮影し、ギョンナムという人物として生きた」という。
「準備がなかったので、今回の役については説明が難しい。脚本が当日の朝に出来上がるというスタイルには慣れていますが、今回は、その日誰に会い、何をするかもまったく分からなかった。心配でもありましたが、逆に楽しみな面もありましたね」。
こうしたホン監督特有のスタイルで撮った映画が、作品としてお粗末なものだと思うならば大きな誤算だ。むしろ現場は他のどの作品よりも激しい。俳優には何倍もの集中力と完璧(かんぺき)さが求められる。キム・テウも「(一般的な作品では)脚本をもらい2か月かけて準備するところを、ホン監督は2時間に圧縮しているというだけ。大きな違いはない」と話すが、「撮影は大変徹底していて、厳しい」ものだとも語る。
「ある状況がふられたらアドリブで流していくと、観客は考えるかもしれませんが、決してそうではありません。監督の頭のなかにはすでにすべてが入っていて、俳優は当日、助詞ひとつ間違えず脚本通りにしなければならない。長回しの撮影では小さなミスも許されない。その集中力と緊張感は、とうてい言葉にできません」。
内容が当日まで分からないというだけでなく、共演者についてもクランクイン直前まで知らなかったという。さらに、今回の出演料はノーギャラに近い。ホン監督への信頼があってこそだ。どんな監督と仕事をしたいかと質問されると、常に「ホン・サンス監督」だと答えるほど、かねてからホン監督の作品のファンだったというキム・テウ。「良い作品に出演するということでも意味があり、作業中の楽しみと新鮮さもある。今回はさまざまな俳優に出会えたこともうれしかったですね」。
こうして完成した『よく知りもしないで』は、作家主義映画うんぬんせずとも気軽に楽しく見ることのできる作品だ。キム・テウのほかコ・ヒョンジョン、オム・ジウォン、コ・ヒョンジン、ユ・ジュンサン、ハ・ジョンウら、豪華キャストも見どころ。キム・テウも「監督は”難しい映画”だとおっしゃるけれど、僕は楽しめる映画だと思います。特に、ホン・サンス映画だという先入観を持たずに見てもらえれば、後悔しないはず」と紹介する。
13日に開幕するカンヌ国際映画祭では監督週間に選出されている。2004年に同映画祭コンペ部門に『女は男の未来だ』が出品されており、キム・テウがホン監督とカンヌに行くのはこれで2度目だ。
「賞や映画祭はボーナスにすぎませんが、世界最高の映画祭に行けるのだから、感謝しているし、うれしい。演技がうまい俳優すべてが映画祭に行けるわけではないのですから、幸せだと感じています。そういった意味で、とても浮かれていますよ」。
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