このように慰安婦問題関連のあらゆる現場で常に先頭に立ってきた吉さんが、光復節(植民地支配からの解放記念日)64周年にあたりオーストラリアと米国、ドイツなどで開かれる「慰安婦問題解決に向けた世界連帯集会」などの活動のため、10日にオーストラリ行きの飛行機に乗り込んだ。
吉さんは出国前にソウル市内の活動拠点で記者に会うと、今回のオーストラリ行きについて、これまでも何回か訪問したがまだ議会で決議案が通過していないため、慰安婦問題が解決されるよう助けてほしいと改めて促すことが目的だと説明した。「平和で安定した国でも戦争がいつ起こり、こうしたこと(慰安婦)にいつ直面するか分からない。韓国人被害者が乗り出しているからといって、韓国だけのことだと考えてはならない」と説得する考えだ。
吉さんは先月30日には、米下院の慰安婦決議案通過2年を記念して現地で開かれた国際シンポジウムに出席し、決議案採択から2年たっても進展が全くないことを残念がるとともに解決を訴えた。慰安婦だと名乗り出た234人のうち、生存者は91人まで減っている。吉さんは国際社会の決議案にもかかわらず態度が変わらない日本政府に対し、「この91人が死ねば慰安婦が歴史から隠されると考えているのだろうが、歴史とは思い通りにはいかない」と指摘した。
一方、吉さんは韓国政府の消極的な態度にも言及した。海外で受ける質問のうち最も答えにつまるのが、「今、韓国ではどのようにしているか」という問いだという。そのたびに日本にはいくら話しても通じないとだけ答え、韓国政府の話はしていない。また、慰安婦のつらい歴史を後世に伝えようと韓国挺身隊問題対策協議会が建設を進める「戦争と女性人権博物館」が、基金問題などのために進展していないことも吉さんを悩ませる。「わたしたちがデモ現場に赴けば、私たちだけが恥ずかしいのではなく、政府も恥ずかしいことなのだ。政府がそれを悟り、(被害者女性の)苦労をどうか終わりにしてくれれば」と、しばし目頭を押さえた。
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