李教授が提供した日本機密文書=29日、ソウル(聯合ニュース)
李教授が提供した日本機密文書=29日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル30日聯合ニュース】日本政府は独立運動家・安重根(アン・ジュングン)による伊藤博文暗殺の背後に高宗がいたと判断していたことがわかった。高宗が抗日独立運動と緊密な関係にあったことを示す機密文書が発見された。
 安重根・ハルピン学会共同代表を務めるソウル大学国史学科の李泰鎮(イ・テジン)名誉教授は29日、日本外務省の外交資料館所蔵資料から、伊藤博文暗殺翌年の1910年1~3月に駐ウラジオストク日本総領事と韓国統監府が当時の小村寿太郎外相に送った報告書6件が見つかったと明らかにした。

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 報告書は、京城(ソウル)からハルピンを経て1910年1月27日にウラジオストクに到着した高宗の密使2人が、安重根を日本の法廷からロシア法廷に管轄権を移し救出しようとした状況を説明している。密使は30代のソン・ソンチュンとチョ・ビョンハンで、ソン・ソンチュンは韓国官吏出身で日本語と英語に長け、日米を訪れた経験もあると記されている。

 3月2日付の報告書には、「排日の本元はもちろん韓国皇帝だという。(中略)昨年10月にハルピンで起きた凶変事件(安重根暗殺)も、宮廷が煙秋(ロシア沿海州・クラスキノ)の崔在亨(チェ・ジェヒョン。独立運動家)を扇動した」とあり、高宗が伊藤博文暗殺の背後にいたと指摘している。また、第二次日韓協約に反対するなど救国運動を行った政治家・李容翊(イ・ヨンイク)も「韓国皇帝の密使」だとし、当時、李容翊が持参した王の私費の残金7000円は、今も崔鳳俊(チェ・ボンジュン。独立運動家)の家に保管されていると記録されている。

 2月17日付には、高宗の密使がウラジオストク居留民会に出席したとある。「我太皇帝(高宗)陛下の勅命を受け、陛下の親璽が刻まれた密書を持ち、旅順の獄中にある安重根を救出しロシア領にいる同胞とともに彼をロシアの裁判に預けるために来た」と語ったという。

 一方、曽禰荒助統監が1910年1月8日に小村外相から受け取った報告書「機密統発第20号」には、安重根を助けるためロシア人が上海の英国人弁護士に弁護を依頼し、その費用は高宗の腹心で上海にいた閔泳翊(ミン・ヨンイク)、閔泳チョル(ミン・ヨンチョル)、玄尚健(ヒョン・サンゴン)が請け負ったと記されている。この英国人弁護士は、安重根と面会し「韓国政府顧問の米国人スティーブンスを暗殺した田明雲(チョン・ミョンウン)が懲役7年の宣告を受けており、安重根も似たような量刑になると思われるが、万一、裁判が無法に行われれば列国に訴え、万国共同裁判を受けられるようにする」と話したとの記述もある。

 李教授は、密使は安重根にロシア法廷で裁判を受けさせ、韓国人に安重根救出の募金運動を督励するため派遣されたもので、この2人以外にもいたとの見方を示した。日本が広めた高宗無能論の影響で、これまで学界でも抗日独立運動は高宗と無関係と考えられてきたが、実際には、直接関与していたことを示していると説明した。

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