聖公会大学社会学科の学生が、「エスニシティ(民族性)の変形を通じた韓国社会移住労働者の文化変応研究:韓国系と非韓国系移住労働者の事例比較」と題した博士論文で、韓国系とそうでない移住労働者との対面アンケート調査の結果、こうした結論をまとめた。
論文は、移住労働者が韓国に適応する過程で民族性に変形が生じるが、韓国系か非韓国系かで相違点があるとしている。韓国系移住労働者は韓国生活に積極的に適応するよりも、韓国系だけのグループに属し社会適応も制限的な一方、非韓国系は女性を除く大部分が適応に積極的なようすがみられるとの指摘だ。
論文に登場する韓国系移住労働者は、主に40代以上の低学歴層。小規模自営業などに従事し中国内の主流社会には属せなかったが、中国語と韓国語に通じるという長所を生かし、韓国系企業で働いてきた。中国国籍ながら血縁的には韓民族だという二重のアイデンティティーを持ち、政治・経済的必要により韓国に移入したが、自身のアイデンティティーを定められない混乱した状態にあると、論文は診断する。
一方、非韓国系移住労働者は20~30代の高学歴層が主流で、血縁や地域的同質性を共有するネットワークや産業研修生制度を利用し、韓国に入った。論文は彼らを「経済的必要性により韓国に移入したグローバル時代の世界人」と規定し、多民族・多人種社会に拒否感がなく、また民族意識も強くなく、韓国社会の排他的感情さえなければ、隣人として暮らす準備ができていると説明する。
韓国系労働者は中国国籍を維持したまま両国を自由に往来することを望んでいるのに対し、非韓国系労働者は韓国国籍取得を望んでいるが、そうした考えを他人に積極的に示している人は少数だった。非韓国系の場合、正規の方法で外国人登録をしていない自分たちの状況を痛感し、希望的な未来をあきらめ、韓国政府の処分を待つしかない立場にあるためだ。
論文は、これまで韓国人は移住労働者を施しの対象や社会問題の原因と見ていたが、彼らは絶え間ない文化変容を通じ、韓国人の生活世界とも深い相互作用の関係を結んでいると指摘。彼らを韓国社会で一定部分の役割を担う実体と認めなければならないと提言している。
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