【光州15日聯合ニュース】9月3日に開幕した現代美術の祭典「2010光州ビエンナーレ」が、7日に閉幕した。詩人高銀(コ・ウン)氏の連作詩「万人譜(10000LIVES)」をテーマに、光州ビエンナーレ展示館や市立美術館、市場など、光州市内各地で66日間にわたり展示が行われ、「芸術の故郷」光州は現代美術に染まった。15年の歴史を持つ光州ビエンナーレは、アジアを代表するビエンナーレ、さらには世界のビエンナーレへの跳躍を目指す。例年以上に世界の関心を集めたことしの光州ビエンナーレを振り返りながら、その未来に目を向ける。
▼「イメージのすべて」がここに
 ことしの光州ビエンナーレには、31カ国134人のアーティストが参加し、9000以上の「イメージ」を披露した。ビエンナーレは5つの展示室で構成。現代社会のイメージがどのように生産・流布され、どのように作用し、どのような意味を持つのかを示した。
 3000枚以上のテディベアの写真を集め、1つの作品にしたYdessa Hendels氏の「テディベア・プロジェクト」は、光州ビエンナーレが何を見せようとしているのかを端的に示した。人々の人生と歴史のなかで、愛する人に代わる偶像を作ろうとする人間の欲望が色あせた写真に表れており、テーマを含蓄的に示していると評価された。
 大地主に搾取される中国の小作農民の姿を、100体余りの実物サイズの彫刻像で再現した「レント・コレクション・コートヤード」や、人々の前で通りを拭くよう強要されるユダヤ人の写真を大きく拡大して展示した、グスタフ・メッツガー氏の連作写真「歴史的写真」も注目を集めた。
▼現代美術と光州精神の出会い
 1980年5月に民主化を求め運動を起こした光州精神は、30年が過ぎた2010年、現代美術との出会いで復活した。光州事件で逮捕された高銀氏が獄中で構想した連作詩「万人譜」をテーマとし、さらに大きな意味を付与した。高氏が詩のなかで人間群像を語ったとすれば、光州ビエンナーレは数千枚のイメージのなかで、人間とその生に照明を当てた。クロアチア出身のサンヤ・イベコビッチ氏の作品「バリケードの上で」は、旧ユーゴ内戦で軍部に対抗し散った犠牲者らの写真を展示し、厳粛な雰囲気を演出。見る者の心を熱くした。
▼世界の美術、光州に注目
 9月3日の開幕式には、ベネチア・ビエンナーレのディレクター、大阪市立美術館館長、仏リヨン美術館館長、シンディ・シャーマン氏をはじめとするビエンナーレ参加著名作家ら、海外の名士が多数出席し、光州ビエンナーレの国際的地位が高まったことを証明した。仏ル・モンド紙や日本の朝日新聞など海外の主要メディア30社余りが取材に訪れるなど、外信の反応も熱かった。外信は主に「テーマのない展示や、市場など都市空間を活用した展示が興味深い」と賞賛した。
 仏ポンピドー・センター、英テート・モダン、グッゲンハイム美術館など世界的な美術機関関係者らが光州に足を運んだのも、目を見張る部分だ。光州ビエンナーレ財団の李竜雨(イ・ヨンウ)常任副理事長は、「ことしの光州ビエンナーレは国際的な認知度がこれまでに比べ大きく上昇した。国際的地位向上はほぼ極みに達した」と満足感を示した。
▼予算に余裕なく、国家レベルの支援切実
 光州ビエンナーレは80億ウォン(約5億8550万円)の予算で運営される。入場券販売収益と後援者の協賛、財団基金利子を合わせ60億ウォンほどを充当し、残る20億ウォンは政府から支援を受けている。財団側は、光州ビエンナーレが国際的行事に跳躍するには、政府の支援拡大が必要だと訴える。
 メーン展示館のビエンナーレ展示館や、空間が狭く、付近の市立美術館や民俗博物館を活用しなければならない。駐車場など便宜施設も不足し、観覧客の不便は15年間続いている。
 財団関係者は、予算が足りず海外での広報も満足に行えない状況だと指摘しながら、「光州を超え韓国を代表する現代美術の祭典として定着しただけに、これからは国の支援が必要だ」と強く述べた。
▼第一歩を踏み出した、市民参加プログラム
 「光州ビエンナーレは作家だけのものか?」――15年の歴史を持つ光州ビエンナーレの問いかけに、市民が「自ら参加する」ことで答えた。ことし初めて導入された市民参加プログラム「万人譜プラス1」には、さまざまな層の市民が参加し、光州市庁庁舎、病院、市場、喫茶店、学校など、光州市内の25か所を芸術作品の展示場に作り変えた。
 「平和のための百万人の顔を描くプロジェクト」をはじめ、多文化家庭(国際結婚、移民者の家庭)、子どもを狙った性暴力、環境問題など、さまざまなテーマを盛り込んだ展示が話題を呼んだ。
 企画されたのが開幕1か月前で、準備期間が短かったとの批判もあったが、市民が祭典の主人公となり、ともに作り上げていくという貴重な体験の場を提供したことは、大きな意味を持つと評価された。
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