シングル、ミニアルバムが主流の音楽市場で、12曲を盛り込んだフルアルバム方式を選び、コンピューターでサウンドをつくる時代にリアル楽器演奏者とレコーディングした。アルバムづくりに参加した作詞・作曲家も、カン・スンウォン、ユンサンら「昔の名曲」の主役らだ。
ソウル市内のカフェで6日に聯合ニュースのインタビューに応じたソン・シギョンは「ぼくは昔の人ですから」と、話を切り出した。「ミニアルバムの誘惑もありました。しかし、ぼくまでがそのやり方を選べば、アナログ世代に終止符を打つような気がしました」
アルバムは5万枚が売れても、2億ウォン(約1450万円)の利益しか出ないという。しかし、レコーディング室をフルで使い、リアル楽器方式を導入した。また、ミュージックビデオにも1億ウォンを投資している。「フルアルバムを発表することはもうぜい沢のような気がします。これだけ、投資したアルバムということを分かってもらいたいですね(笑)」と話す。
フルアルバムを選択しただけに、収録する音楽に対する悩みも大きかった。その上、2年間の軍隊生活があったため、悩みに終止符を打つまでもう1年間がかかった。変化の早い音楽市場で1人で立ち止まっていた気がしたという。とはいえ、無理に努力してまで変わることはないと思った。だから「自分のもの」で、「自分のカラー」を出すことにした。
アルバムタイトルは2000年デビューした当時のように、もう1度初心に戻る気持ちで「初めて」と付けた。しかし、変化はある。直接プロデュースに参加し、12曲のうち5曲を手がけた。
自作曲のタイトル曲「ぼくは好き」は、最近のヒット曲で多く採用されているリフレーンから始めるパターンではなく、ピアノとバイオリンを導入した。メロディーが水のように流れる落ち着いたバラードだ。
1990年代に「名曲」を生み出してきたカン・スンウォン、ユンサンらの作曲家とも交流を深め、女、結婚、お酒、人生などさまざまなことについて語り合った。昔のマインドを持つ彼に、無限にコピーされ、超高速で消費される今の音楽界は異様に映る。その流れから、ソン・シギョンはテレビよりラジオが好きだ。自らDJを務める「FM音楽都市ソン・シギョンです」に対する愛着も強い。
にもかかわらず、音楽番組、バラエティー番組などテレビには彼の姿が映っている。「アルバムを宣伝するチャンスをもらえるため、新人歌手のように一生懸命に頑張ってみようと思う」と笑顔を見せる。その努力は外見から見て取れる。体重を5キロ減量し、シャープな顔となった。アイドルのような体をつくるのではなく、より良い声を出せるための歌手としての姿勢だと説明する。
大の酒好きで知られるソン・シギョンだが、今後は酒量も減らし、精力的に音楽活動を続けていくと抱負を語った。
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