映画『純愛中毒』『タイフーン』のイ・ミヨン、ドラマ『噂のチル姫』のイ・テランが主演した韓国映画『肩ごしの恋人』。唯川恵の直木賞受賞作を原作とした同映画が、第20回<東京国際映画祭>に出品されたことから、演出を手がけたイ・オンヒ監督が来日。インタビューに応じてくれた。

タイフーン の最新ニュースまとめ

イ・オンヒ監督は、デビュー作『アメノナカノ青空』(主演:キム・レウォン、イム・スジョン)で、新人らしからぬ繊細で独特な演出力、感覚的な映像美を絶賛された弱冠31歳の女流監督。今回、大ベストセラーである『肩ごしの恋人』を映画化するにあたり、監督に抜擢されたという。

シングルライフを楽しむ“恋愛至上主義”の写真家ジョンワン(イ・ミヨン)。優雅なマダムライフをエンジョイしている“結婚至上主義”のヒス(イ・テラン)。それぞれに自分の思い通りの人生を歩み、輝いている親友同士の2人だったが、ある日、ヒスの夫の浮気が発覚。ヒスは家を飛び出し、ジョンワンの部屋に転がりこむ。
一方、ジョンワンと既婚者である恋人の関係も、クールなつきあいから本気の恋へと発展。離婚か復縁かの岐路に立つヒスと、不倫の泥沼に突き進むかクールに別れるかで揺れ動くジョンワン。不倫される側と不倫する側。正反対の立場に分かれ、悩み、迷い、とまどい、時には互いに激しくぶつかりあう彼女たちが、最後に選択するのは…?

-『肩ごしの恋人』は日本の小説が原作ですが、映画化されるにあたって、感覚の違いなどは感じられましたか?
<b>イ・オンヒ監督</b>「これまでは翻訳小説を読むとき、そこまで意識していなかったんですが、作品化するにあたって読み込んでみると、違いが明確になった部分がありました。
例えば、るり子がカフェで結婚式を挙げるというのも、韓国にはない習慣ですし…萌が居酒屋で料理をたくさん注文するところも不思議に思いました。韓国では、一品一品の量が多いので、あんなにたくさん注文することはありませんから。
ただ、そういった細かな点を別にすれば、ソウルであれ東京であれ、パリであれニューヨークであれ、都会で生活している女性のライフスタイルに、そんなに大きな差はないと思います。私も、小説を読みながらとても共感できました」

-小道具などでジョンワンとヒスの性格が正反対であることが表現されていましたが、特にこだわった点は?
<b>イ・オンヒ監督</b>「美術的なコンセプトというのは、事前に決めておくんですが…前作『アメノナカノ青空』の時は、服の色の変化を重視しました。主人公のミナ(イム・スジョン)は、最初は淡い色の服を着ているんですが、物語が進むにつれて原色のような、ハッキリした色の服を着るようになるんですね。
『肩ごしの恋人』ではそれとは逆に、最初から最後まで、できる限り同じトーンを維持するようにしました。例えば、ジョンワンはブラックを中心に、オリーブグリーンとかバイオレットなどの落ち着いた色にして、ヒスはホワイトやオレンジ、ブルーなど、明るい色を基調にして、それを一環して維持するようにしたんですね。また、ジョンワンとヒスが一緒にいる時には、ゴールドをキーカラーにしたのですが、これはあまり目立たないかもしれません」

-監督ご自身は、ジョンワンとヒス、どちらに近いと思われますか?
<b>イ・オンヒ監督</b>「優柔不断なところですとか、小心な部分ですとか、そういった表面的な部分だけでいえば、ジョンワンに近いと思います。ただ本音では、ヒスみたいになりたいなあ、という気持ちもあります」

-イ・ミヨンさんとイ・テランさんをキャスティングされた経緯を教えてください
<b>イ・オンヒ監督</b>「イ・ミヨンさんは、高校時代にデビューしたとたんスターになった方で、私も子供の頃から憧れていて、ぜひ一度ご一緒したかったんです。この作品が企画された時、役柄にぴったりだったので、すぐにオファーを出しました。
イ・テランさんは映画でデビューされた方なんですが、その後はドラマを中心に活躍していらっしゃったんです。演技力もあるのに、どうして映画に出演しないのかと不思議に思っていまして、イ・ミヨンさんが相手役にイ・テランさんを推薦されたこともあって、お願いしました。ただ、イ・テランさんはこれまで、どちらかといえば男っぽい、サバサバした役柄が多かったので、ヒスのような女性らしい役柄がこなせるだろうかと、当初は迷われていたんですね。私としては、女性らしいイメージが定着している女優さんより、そういった女優さんを使った方が、また新しい一面を引き出せるのではないかと思いまして、テランさんを説得して出演してもらいました。結果的に、成功だったと思っています」

-主演のお2人は、「監督が女性だったので、きわどいシーンも演じやすかった」とおっしゃったそうですが、監督ご自身はいかがでしたか
<b>イ・オンヒ監督</b>「私自身も、とても気楽でした。女優さんですから、女同士ということで何でも話しあえましたし。ラブシーンの撮影にしても、やはり…生理中は(テレ笑)…避けなければいけないわけですが、そういったことも話せて…仕事のことだけでなく、恋愛話ですとか男性の話ですとか(笑)、あれこれおしゃべりしながら、非常に楽しく仕事ができました」

-女性の監督であるということで、メリットはありますか?
<b>イ・オンヒ監督</b>「仕事においては、まったくありません(笑)。確かに女性ということで、男性とは違う視点を持っているとは思います。ただ、映画制作というのは創作ですから、それがメリットにもデメリットになり得るわけで、男女の違いでしかないんじゃないでしょうか。そして、仕事の部分だけでいえば、やはり業界的には男性が圧倒的に有利ですね」

-ではプライベートでは?
<b>イ・オンヒ監督</b>「え~?そうですね…私は女性に生まれたことを楽しんでいます(笑)」

-ずばり、女性の幸せとは何だと思われますか?
<b>イ・オンヒ監督</b>「女性の幸せですか…(笑)。韓国の、冷蔵庫か何かのCMに、“女だから幸せなの”というコピーがあります(笑)。
これはジョークですが、まだまだ“女の幸せは家庭にある”という考え方が一般的でしょうね。私は、男であれ女であれ、自分が満足できる生き方ができてこそ、幸せなんじゃないかと思います。私も、自分はどうしたら幸せになれるのかと悩んでいますし、幸せになるためにはどのように努力すべきか考えています」

-最後に、次回作について教えてください。
<b>イ・オンヒ監督</b>「今、2作品のどちらにするか悩んでいるのですが…とても悲しいラブストーリー、でなければ歴史ロマンス、そのどちらかになる予定です」

映画『肩ごしの恋人』は、11月23日よりお台場シネマメディアージュほかにて全国ロードショー。

2007.10.23 都内にて

Copyrights(C)wowkorea.jp

Copyrights(C)wowkorea.jp 0