昨年12月9日より、作品の舞台となり、撮影も行なわれた北九州での先行公開を迎えた映画『レッドシューズ』の全国公開(2月24日)を前に2月7日(火)東京完成披露試写会が都内で開催された。主演の朝比奈彩、雑賀俊朗監督、さらにスペシャルゲストとして池畑慎之介が上映後の舞台挨拶に登壇し、映画にちなんで、母にまつわるトークなどを繰り広げた。

昨年12月9日より、“地元”北九州での先行公開が行なわれ大きな盛り上がりを見せたが、この日は北九州から遠く離れた東京での完成披露ということで、雑賀監督は「東京…全国ってやっぱりちょっと違って、緊張感がある」と語っていたが上映後の客席からの温かい拍手に「ホッとした気持ちです」と安堵の表情を浮かべる。

シングルマザーで女子ボクサーでもあり、まさに“戦う母親”の主人公・真名美を演じた朝比奈は今回、初めての母親役に挑戦したが「本当に難しくて…子どもを産んだ経験も育てた経験もなく、どうしようか? という感じでした」と当初の戸惑いをふり返る。だが「芸能の仕事を始める前に助産師の助手を2年間していた経験があり、そこでいろんなお母さんや、生まれてくる子どもに接して色んな形を見させてもらったし、成長していく姿も近くで見させてもらいました。その時に感じたことを心の引き出しを開けて、自分の中に落とし込みながら、監督と真名美の像をつくりあげていきました」と役作りの過程を明かす。

雑賀監督は、実生活で母親ではない朝比奈をあえて主人公に起用した点について「この主人公の母親像を作っていくにあたって、女性は生まれた時から母親ではないので、一緒に生活していく中で母になっていくんだということを考えた。朝比奈さん自身も、最初はままごとというか、じゃれ合っているような頼りない感じだったんですが、ラストになっていくにつれて、娘を見る目が優しくなり、強いお母さんになっていった。朝比奈さんの顔が、撮影と共にまさに母の顔になっていきました」と語り、朝比奈を称賛。

池畑は「母とこの物語になぜ私が呼ばれなくちゃいけないのか? 不思議な気持ちでここに立ってます(笑)」と冗談めかしつつ、映画については「深く胸に突き刺さりまして、不覚にもウルっとくるところが何度かありました」と明かす。そして「私も、父と母が離婚して、料理屋をやっている母が働いている背中を見ていました。夜しか帰ってこないので、母は疲れているんだけど一生懸命、学校の話とかを聞いてくれて…。母との関係があって、いまここに立っているんだなと、話を聞いていてウルっときました」としみじみと語る。

池畑と朝比奈は、事務所の先輩・後輩の間柄。池畑は朝比奈を指して「見てくださいよ、この顔の小ささ! 私たちは昭和。朝比奈さんは、令和の顔ですからね」とユーモアたっぷりに朝比奈の美しさを称えつつ、劇中の朝比奈の姿についても「若さならではの目の輝き。女性ボクサーって一般的ではないけど、私はすごく自然に観られました。子のために働く強さ――勝たないと手に戻ってこない必死さ、目の輝きが良かったです。関西の女なんですよ。関西の女はみんな目力が強いんです(笑)。大地真央とかね」とその魅力に太鼓判を押す。

それを受け、朝比奈は「率直に嬉しいです」と満面の笑みを浮かべ「この作品に入る前に、実は監督にも同じことを言っていただきました『戦う目、強さを感じたのでお声がけしました』とおっしゃっていただきました」と明かし、雑賀監督は「YouTubeで朝比奈さんがかっこいいキックボクシングをしていて、その時の戦う姿と目が良かった」とキャスティングの理由を話した。