俳優の香川照之の長男で歌舞伎俳優・市川團子が20日、自宅から搬送されて入院中である叔父の市川猿之助の代役を急きょ務めることになった、東京の明治座5月の昼の部公演「不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―」が幕を開けたことを、各スポーツ紙が報じた。

もともとは「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」と題して猿之助が主役として昼夜の部に出演するはずだった。しかし、猿之助が救急搬送された18日、翌19日の昼の部の休演を経て團子が代役として舞台に立った

記事によると、團子の姿に涙して目頭を押さえるファンが続出。血みどろの立ち回り、張りがあって聴かせる声での歌唱シーンに満員の客席からは大きな拍手が鳴り響き、クライマックスシーンの宙乗りも堂々と披露。代役初日をノーミスで乗り越えたという。

演じた演目は、祖父の市川猿翁(当時三代目猿之助)が1979年に初演した演目。團子は猿翁の長男で俳優の香川照之の1人息子とあって、会議が開かれ、猿翁の血を引く團子が代役を務めることが決定したというのだ。

團子は母の実家がある福岡県で生まれ、祖父と同じ歌舞伎の道に進むことになり、ドラマや映画で活躍していた香川も、市川中車として歌舞伎の舞台に立つことに。

2012年、新橋演舞場「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」のワカタケルで五代目市川團子を名のり初舞台を踏んだ。

13年、国立劇場10月歌舞伎公演「春興鏡獅子」胡蝶にて、国立劇場賞特別賞受賞するなど早くも頭角を現し、歌舞伎俳優として成長を重ねている。

「祖父の名跡・猿之助を継いだのは叔父。香川は團子にその名跡を継がせたかったが、祖父は『猿之助の子どもが継ぐべきだ』と歌舞伎界入りに反対した。ところが、その時、猿之助はもともと香川と仲が良かったこともあり、『自分は子どもがいないので、あちらに継いでもらって構わない』と歌舞伎界入りを後押し。團子にとっては恩人だが、今回、その恩人に恩返しをできた」(演劇担当記者)

今回の舞台を経て大きく成長しそうだ。