「恨(ハン)」って、何?と思う方は、是非前号をご覧ください。
大学は文学部で、入学するとまず、英語以外の外国語を誰もが選択します。
2年生になるときに、どの学科に入るか選択するのですが、入学時はすでに
ロシアに興味があったので迷わずロシア語を選択し、そして2年生になったら
ロシア文学を専攻するつもりでいました。
当時は人と人とのコミュニケーションは家電(いえでん。家庭用の電話)が中心。
姉のサークル関係の電話を取った時に、姉がおらず、その電話口の男性の
先輩の話に少し付き合うことになりました。
「妹さん? へぇ、1年生? いいなぁ、僕そろそろ卒業なんだけど、いまほんとに
後悔していることがあってね…。せっかく大学4年間もあったんだから、
何か外国語を極めておけばよかったと思ってるんだよ。だから、あなたは
これから絶対に何か、外国語を極めるべきだよ。」
わかっています。わたしはロシア語を極めるんです、と思いながら、話を聞きました。
大学3年の夏、モスクワに短期語学留学をしました。ロシアの文学、芸術を
自身の誇りのように思い、恋し、その地に足を踏み入れたのですが、
現実のロシアは、ソ連崩壊直後の政治・社会の大混乱期でした。
初日のオリエンテーションに来てくれた、当時モスクワ大学で研究をしていた
学部教授の先生から「治安がものすごく悪いです。皆さんの中で3分の1は
何かの犯罪に巻き込まれると考えていたほうがいい。」と言われ、驚きました。
結果から言うと、3分の1では済まなかった、というところでしょうか。
スリ、強盗、恐喝、周囲で起こったことは枚挙にいとまがありませんが、
ロシアに恋していた私が失望し、残念ながら縁が途絶えてしまったのは、
頼れると思っていた人々…例えば、入管の公務員、警察官、お医者さんなどが
頼れなかった出来事のためです。悪いと思っている人が悪いことをするのは
分かるのですが、それらの職業の人が助けてくれなかったのは、心の底から
ショックで立ち直れませんでした。その人たちも、生きるのに精一杯だったのでしょう。
今なら理解できる気がします。
大学卒業後、韓国語の学習を始めたのですが(以前、経緯を
コラムに書きました。こちら
)、それでも、一時期心の底から好きになった
ロシア、ロシア語は、恨(ハン)として残り続けていました。
時を経て、昨年、とある機関からの委託研修で、韓国語、中国語、ロシア語を
3つセットで受注したことが縁となり、ロシア語の授業を開始。
ロシア語を聞いていたら、欲が出てきたのです。
そこで、ロシア語講座に チャレンジすることになりました。
ロシアに恋していた、と言いましたが、異性というものに例えるならば、
한국어는 서로가 사랑해서 결혼한 생대
(ハングゴヌン ソロガ サランヘソ キョロナン サンデ
/韓国語は、相思相愛の結婚相手)
중국어는 언제나 곁에 있어 주는 좋은 친구
(チュングゴヌン オンジェナ キョテ イソ ジュヌン チョウン チング
/中国語は、いつもそばにいてくれる良き友)
러시아어는 실연당한 짝사랑 상대
(ロシアオヌン シリョンタンハン チャk サラン サンデ
/ロシア語は、失恋した片思いの相手)
こんなところでしょうか。それぞれの言語が私にとってこのような位置付けなので、
よく周囲から「最近、韓国語(中国語)に興味がないのでは」と心配されたり
することもありますが、この3言語は私にとって、どっちに興味が傾いているとか、
そんなに簡単に片づけられる次元のものではないんです。
ロシア語には一度失恋しましたが、韓国語、中国語の世界で得た経験を活かし、
時を経て新しい関係性になれたら、と願ってやみません。
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- <コンテンツ提供:アイケーブリッジ外語学院>
「言葉を知り、文化を知り、人を知る」をモットーに、東京・虎ノ門で韓国語講座を開講。「趣味の韓国語」、「シゴトの韓国語」などのクラスから実践的な通訳や映像翻訳の技術が学べる講座まで、あらゆるレベル、ニーズに応えています。
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