とっても韓国語的な(韓国人的な?)表現を一つご紹介しましょう。

 以前、韓国の江華島を旅行したことがありました。江華島はソウルから西北に車
で2時間~2時間半ほど。北朝鮮との国境近くにあり、昔から外国からの侵略を多く
受け、多くの城塞があります。

 島には摩尼山(마니산)という、壇君神話で有名な海抜468メートルの山があります。
ガイドブックの「山頂から望む黄海の眺めが素晴しい」という一言が殺し文句になり、
もともと山登りが嫌いでない私は、頂上に行ってみたくなりました。しかし、私が
履いていたのはどうみても運動靴とはいえないサンダルと通気性の悪いジーンズ。
そんなスタイルで無謀にも山登りにチャレンジしたのです。そう、友人の反対を
押し切って・・・。

 後悔するのに時間はかかりませんでした。その勾配の激しさ、道の悪さといった
ら!私の顔からは笑顔が消え、汗はしたたり落ち、Tシャツもジーンズも汗でびっ
しょり。その悲惨な私の姿をみると、頂上にいったんのぼり、下山してくる韓国の
人々は口々にこう言うのでした。

 「다 왔어요.」(タ ワッソヨ/もう着きましたよ)

 ・다 →すべて
 ・왔어요→来ました

 そうか!もうそこは頂上なのか!と思い、登り続けると・・・・
いつまでたっても頂上には着きません。見えるのは絶壁のような山道・・・。
「うそつきー!」と思いながら登り続け、やっと頂上にたどり着きました。
もう息は絶え絶え。立ちくらみはするし、倒れこみたい気分でした。

 「다 왔어요.」というのは、「もう着いたよ」ではなく、「すぐだから(すぐだと思って)
頑張って」という掛け声なのだということを、このとき知りました。(なんてこった)

 そして極めつけは、「山頂から望む黄海の眺めが素晴しい」ことを期待して登った
のにも関わらず、ものすごい霧で周辺の視界がまったく開けないのでした。
江華島と聞くとまず思い出す出来事、そして一言です。



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