先日、上級者向けプログラムのレベルチェックテストを実施いたしました。
「上級者」とうたっているだけあり、まさに「上級者」の皆様がいらっしゃいました。
皆さん、お上手でした~。韓国語人口、底上げされています!嬉しい限りです。
そのレベルチェックテストの一つに、日本の新聞記事を韓国語にしていただくものがあります。
その方それぞれの、いろんな文章に仕上がるので、非常に興味深いです。
その中でも、「この言葉(文章)、どう訳されるかな」というポイントがいくつかあるのですが、
その一つ、日本語の「大手(おおて)」を皆さんがどう訳されるか拝見するのが、個人的な楽しみ?でもあります。
これまでどんな訳があったかご紹介させていただきます。もちろん空欄のままの方も
いらっしゃいます。ちなみに、日本語原稿は、「韓国航空大手のアシアナ航空」です。
「대한민국의 큰 항공회사 아시아나 항공」
(大韓民国の大きな航空会社、アシアナ航空)
「한국에서 대표적인 항공회사인 아시아나 항공」
(韓国で代表的な航空会社であるアシアナ航空)
「한국의 유력 항공회사인 아시아나 항공」
(韓国の有力航空会社であるアシアナ航空)
「한국 최대급 항공회사인 아시아나 항공」
(韓国最大級航空会社であるアシアナ航空)
「한국의 항공 대기업인 아시아나 항공」
(韓国の航空大企業であるアシアナ航空)
いかがでしょう?「大手」という日本語が、こんなにいろんな表現に様変わりしました。
※「航空会社」「旅行会社」と日本語では言いますが、韓国語の場合、「항공사(ハンゴンサ/航空社)」、
「여행사(ヨヘンサ/旅行社)」と言うのが一般的です。日本語をそのまま訳して「항공회사(ハンゴンフェサ)」、
「여행회사(ヨヘンフェサ)」と言われる方が多いのですが、韓国語としては少し不自然です。
さて以前、私が通訳・翻訳の学校に通っていた頃、「大手」はこう訳すよう教わりました。
「최대」 (チェデ/最大)
となると、「韓国航空大手のアシアナ航空」は、
「한국 최대 항공사 아시아나 항공」
(韓国大手航空会社、アシアナ航空)
となる、ということになります。へえ~~。
これまでレベルチェックを受けられた中で、「大手」を「최대(最大)」とされた方は約20%、5人に1人の割合です。
ただ、「あれ?」と思われるかも知れません。「最大」って、「最大’でしょ?」と、
「大手」は数社あるにしても、「最大」となると1社なんじゃないの?
いわゆる「最大手」のことなんじゃないの?と。実は私も長年疑問に思っていました。
「大手」が「최대(最大)」なら、「最大手」は何と言ったら良いのだろう?と。
そこで!当校の、通訳・翻訳のエキスパートの先生方に聞いてみました。
S先生もO先生も、通訳・翻訳の現場に立つことはもちろん、通訳・翻訳を教えていらっしゃる方です。
S先生は、自分だったら「大手」は「대형(大型)」とし、「最大手」を「최대(最大)」
もしくは「가장 큰(最も大きい)」とする、とのこと。なるほど~。
O先生は、「한국 최대 항공사」というと、大韓航空というイメージが強いので、
「한국 최대 항공사중 하나인 아시아나 항공(韓国最大(大手)航空会社の中の一つであるアシアナ航空」とする、とのこと。
なるほど~~。これには唸りました。
長くなりましたが、一つの単語の訳をここまで悩み、掘り下げる、それが通訳・翻訳だと思います。
「合ってる」「間違ってる」と、実は安易には言えないのが言葉の世界です。
上級者の皆さん、韓国人と滞りなく会話が出来ても、通訳・翻訳となると奥が深いですよ~。
カモーン!上級ワールドへ!!
さらに貴方を興奮させる韓国語ワールドが広がっています。
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