韓国の飲食店、百貨店……、従業員の皆さんは笑顔に柔らかい物腰、気持ちの良い
対応をしてくれるところが増えましたが、一昔前は、ちょっとこわい……対応をされて
しまうことがたまにありました。

韓国を愛する人間として、「もうちょっとこうだったら良いなぁ」という話を韓国の友人と
していたとき、私はこんな風に言いました。

「日本には’お客様は神様です’という精神があって、お客様をとても大切に扱うん
ですよ」と。

そうしたら、その友人が「韓国にも同じ言葉がある!」と言うのです。それは、

「손님이 왕이다」(ソンニミ ワンイダ/お客様は王様だ)

韓国にも同じ言葉があるぞ(ふふん。-親指を立てながら)。ということで、そのときは
「へぇ~」と思ったのですが、なんとなく後味の悪さというか違和感が残ったのを覚えています。

後日、その違和感の正体が分かりました。日本の「お客様は神様です」と韓国の
「お客様は王様です」は、同じ言葉のようでいて、それぞれのセリフを発する人が違う
のでは、と思い至ったのです。

日本語の「お客様は神様です」は、従業員側、サービス・商品を提供する側が
「お客様が一番、大切に」という姿勢で、「お客様はとても有難いもの」という精神を
持って発する言葉である一方、どうやら韓国の「お客様は王様です」は、お客さん
自身が「どうだ、オレは(私は)客なんだぞ!」-だから、何やっても良い!? ……
いやいや、ある程度のわがままは許されるのだ……というようなニュアンスがあるよう
なのです。

当校の韓国人先生方に聞いてみたところ、「もともとは日本のように、お客さんを
敬うために使われ始めた言葉なのだけれど、韓国人はお客側が’オレ様は客だ’という
風に使うことが多いわね」

とのことでした。韓国では自分が「お客様」である以上、ある程度のわがままは許される
のかもしれません!おとなしすぎるといわれる私たち日本人も、少しわがままになって
みましょうか(!?)。



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