日本語話者にとって、感覚的にピンと来にくいのだけれど、
韓国人がよく使う表現がまたあります。それは、

「덜」 (トル)

この言葉に接する度に思い出すのが、私が韓国に留学したばかりの下宿先でのこと。
下宿のアジュンマ(おばさん)が、ご飯をよそってくれたのですが、とても多くて「少なく
して欲しい」と言いたかったのです。しかしそのとき、「少なくして欲しい」の一言が言えず、
もごもごと「減らして欲しい」意志をなんとか伝えようと何らかの言葉を言ったか、ジェス
チャーをしたか……。自分がそのときどう伝えたか記憶にないのですが、そんな私を見て、
アジュンマが、

「덜 달라고요?」 (トル タrラゴヨ?/もっと少ない方が良いって?)

と言いました。この「덜」は、文章でこんな役割を果たします。

1.ある基準より弱いさま、ある程度に及ばないさま

例:오늘은 어제보다 덜 추워요.
(オヌルン オジェポダ トル チュウォヨ
/今日は昨日より、寒さが弱いです→昨日より寒くないです)

2.(主に動詞の前について)より少なく、より少なめに←アジュンマのセリフはこれです

例:유학하면 돈을 덜 써야 돼요.
(ユハッカミョン トヌル トル ソヤデヨ
/留学したらお金をより少なめに使わないといけません→節約しないといけません)

3.不充分に、不完全に

例:감이 덜 익었어요.
(カミ トル イゴッソヨ/柿の熟し方が不完全です→まだ熟していません)


そう、日本語話者の感覚だと、これらの文章を言うときは、「寒くない」「熟していない」
など、否定形を使いたくなるのです。しかーし!韓国語では「덜」一言で、その状態
に及んでいない、少ない様子を表すことができるのですね。

「덜」は、私が思う「괜히」と並ぶ「感覚的に難しいけど、使うと韓国人ぽい!」表現です。
頑張って攻略しましょう!



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