もう一か月前になりますが、日本の民間学校で韓国語を教える先生方のネットワーク「ハンガンネット」のセミナーが開催されました。全国各地から先生方がご参加くださいま
した。

当日はいくつかのテーマを用意し、発表形式、座談会形式でセミナーが進みました。世話人を務めている私も僭越ながら発表させていただきましたが、他の先生の発表の中で、
ハッとさせられるものがありました。

具体例をご紹介すればもっと実感できるとは思いますが、簡単に言うとこんな内容です。「学習者にはいろんなタイプがいる。どんな学習が合っているか診断するチャート等も
開発されている。その人に合わない学習法を強要すると、‘思考停止’になり逆効果だ」というものでした。

私たち語学講師に限らず、人は「自分はこうやってきた」「こうすれば良いはず(良いと聞いている)」となってしまいがちですが、目の前のその人を良く見て、より柔軟に…
…と痛感した次第です。

私の中国語学習も早いもので今年6月で5年になります。加藤嘉一(かとうよしかず)さんという、「中国でいちばん有名な日本人」と言われる方がいらっしゃいますが、彼は
18歳で北京に留学したときお金が無かったこともあり、辞書一つ片手に新聞で猛勉強。会話は売店のおばさんとの雑談で鍛えたそうです。

その加藤さんの講演を聞いたとき、中国語上達の秘訣について、「漢字で考えないほうがいい。音で反応できるように。漢字を思い浮かべていると時間がかかり、反応が鈍くな
る。日本人にとって、漢字は邪魔になることもある」というお話をされていました。

私はすべての音に漢字を当てはめたい!と思っていたタイプだったので、少しショックであると共に、そのように中国語が理解でき、あの運用力をもつ加藤さんを羨ましくも思
いました。

でもその後、アルクの『中国語ジャーナル 2013春号』で、清原文代先生という方の書かれたこんなコラムを読みました。

「私の場合は先に文字でインプットして、後で音声として定着させていくというパターンで学習してきましたが、その逆の方が楽な人もいます。東回りでも西回りでも地球は一
周できますよね」

とても感動した言葉だったので、韓国語にしてみたいと思います!

「동쪽으로 돌아도 서쪽으로 돌아도 지구 일주는 가능합니다.」
(トンチョグロ トラド ソッチョグロ トラド チグ イルチュヌン カヌンハムニダ
/東回りでも西回りでも地球は一周できます)

私はこの文章を読んだおかげで「あ、文字から入ってもいいんだ、自分は文字が
分からないと音声が定着しないというタイプだ」と実感し、いちいち漢字(綴り)を
調べる作業も厭(いと)わないようにしようと思いました。

このメルマガを読んでくださっている韓国語学習者の皆さんが、いろんな道を通ってゴールにたどり着く。重要なポイントは押さえつつも、私たち講師はゴールにたどり着くい
ろんな道筋を知っていて、その方の行きたい方を認め、誘導していくのが理想だな、と思います。



※韓国語を配信・提供したい個人様または法人様は「お問い合わせ」ください。