私が韓国の方と初めて交流したのは、大学卒業後、趣味で韓国語を習うために民間語学スクールに通ったとき、その女性の先生が最初だった……と、思っていたのですが、もっ
と前にそのような経験をしていました。

それは大学時代のサークル。私はある音楽系の団体に所属していたのですが、その団体は一学年が60~70人という大所帯でした。よって、4年生までだと数百人になります


その団体の「卒団20周年の集い」という同窓会のようなものを先日催し、
懐かしい同級生の面々に再会しました。

談笑する中で話が出たのが同級生の「ソン君(仮名)」。ソン君は何らかの事情で
途中で退団しており、この日は来ていませんでした。

ソン君は韓国からの留学生で、弦楽器パートに所属していました。
けっこうなお家柄らしいよ、という噂を聞いたことがあるようなないような。
でも、現在のように留学制度が充実しておらず留学生はとても珍しい存在
だったので、あながちただの噂でもなかったのでしょう。当時の私にとって
ソン君は、アジアの国からのエキゾチックな留学生、というイメージ。

しかし、一学年数十人という団体の中で私は管楽器パートに所属しており、
ほとんど接点がないままでした。また、当時私はロシア語の学習に精を出しており、いま最大の関心を持っているアジア諸国については興味も知識も、
恥ずかしながらあまりありませんでした。今だったら捕まえて根掘り葉掘り
聞いてはすぐ友達になったんでしょうが(笑)。

さて、その同窓会後、いまでもソン君と連絡を取り合っているという友人が、
私とソン君をFacebookで繋いでくれたのです。

ソン君から友達申請をもらい、私は意気揚々と「韓国語」で、卒業してから
韓国に留学し、いまは韓国語学校を経営している話などを手短に書きました。

でも、ソン君は留学生だったので目立つ存在だったけれど、ソン君にとって
他パートの同級生は‘その他大勢’となってしまい、覚えてくれているのかしら……
なんて思いながら…。

ソン君は驚き、以下のように返信を送ってくれました。

안녕하세요~? 오래간만이고 반갑네요...^^
(アンニョンハセヨ?オレガンマニゴ パンガムネヨ/こんにちは~。お久しぶりですね。)

기억이 어렴풋 납니다.
(キオギ オリョムプンナムニダ/→→日本語訳は後ほど)

그런데 갑자기 한글로 메시지를 받아서 깜짝 놀랍기도 하고 반갑네요.
(クロンデ カプチャギ ハングルロ メッシジルル パダソ カムチャン ノルラッキド ハゴ パンガムネヨ
/ところで突然ハングルでメッセージをもらい、とても驚きましたし嬉しかったです)

さて、私がぬぬ?と思ったのは「기억이 어렴풋이 납니다.」のくだり。
「기억」は、「記憶」ですね。問題は「어렴풋이 나다」。

・여렴풋이 -副詞:ぼんやり、ぼうっと
・여렴풋하다 -形容詞:(記憶や考えが)ぼんやりしている、(見えたり聞こえたものが)かすかである

とあります。日本語では「おぼろげに」という言葉がぴったりのようです。 直訳すると、「記憶がおぼろげに浮かびます」。よって、「なんとなく、覚えています」というよ
うなニュアンスになるかと思います。

でも……、外国語だけに微妙なニュアンスを自分がキャッチしきれているか不安。
「もしかしたら、実は覚えていなかった人に言う常套句かも!?」なんて疑ったりもして、韓国語ネイティブの先生達に聞いてみたところ、

「確かに、覚えていても、いなくても使えるフレーズですね。自分だったら、
覚えていないときに相手に申し訳なくて使うような気がします」

「韓国人だったら、本当に覚えていたら‘ああ、ハタノさん、覚えてますよ!’と
ハッキリ言うような気がしますね」

とのこと。やっぱりそうか……。いや、いいんです。充分理解できます。
ということで、相手は覚えてくれているようだが、こちらの記憶が曖昧だというときには、上記の韓国語フレーズが使えますよ!(笑)

さて、ソン君は卒業後輝かしい経歴をたどり、いまでは仕事で東京に来ることもあるのだとか。その時は、他の友人も交え食事でもしましょう!なんて話しました。

私の20代を支えてくれた韓国と韓国語、ソン君とこの間のいろんな話をするのが今から楽しみです。




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