数か月前の話になりますが、韓国の국립국어원(国立国語院)が、2015年
第二四半期に修正した標準国語大辞典の中で、「否定的な意味で使われる」と
してきた「너무(ノム/すごく、あまりに)」の解釈を少し変え、その例文の中に、
肯定的な意味の例文を挿入しました。
(2015年6月22日、国立国語院の発表→こちら


「너무 좋다」(ノム チョッタ/すごくいい)
「너무 예쁘다」(ノム イェップダ)/すごくかわいい)
「너무 반갑다」(ノム パンガプタ/すごく(会えて)うれしい)

などが加わったのです。

皆さんの中には、もともと否定的な文章で使うものだ、ということを知らずに、
「すごい」という意味で使っていた方は多いでしょうね。私が韓国留学していた
90年代後半でもすでに肯定的意味の文章で使われていましたから。

話変わりまして、本来否定的文章で使われるはず、という言葉として
韓国語の「~아/어 버리다/~てしまう」があります。

「마지막에 실수해 버려서 우리 팀이 졌다.」
(マジマゲ シルスヘ ボリョソ ウリ ティミ チョッタ
/最後に失敗してしまい、我々のチームは負けた)

などです。この「~てしまう」の用法は日本語も同様……のはずなのですが……、
同居している義理の両親は、二人揃ってあるプロ野球球団の熱狂的ファン。
シーズンになると毎日こんなふうに話しているのです。

「またホームランで一点入っちゃったよ」
「○○がヒット打って、三点差になっちゃったよ」

最初、
「相手チームがホームランを打って、一点入れられてしまった」
「○○がヒットを打って、三点差に広がってしまった(→負けそうだ)」
かと思ってたのですが、どうもおかしい。

だいたいこういう報告をするのは義理の父の方なのですが、
ニコニコしながら、さらにはドヤ顔で(笑)話しているし、その受け答えを、
「あら~、打っちゃったの!誰が?」
「あら~、三点差になっちゃったの」
とこれまた義理の母は、ほくそ笑みながら話しているのです。

その二人の「やったぜ」的な(笑)様子から、あるとき、「もしかしたら
‘~しちゃった’を喜ぶ意味で使っている?!」と気づきました。 義理の両親は
北関東出身ですが、その地方の方言?なのかどうかは分かりません。

とまあ、野球の応援をしているときは非常に仲の良い夫婦。私の実の父は、
その球団のライバル的位置づけの球団ファンだったのですが、その話を
その昔チラッとしたところ、義理の両親の凍り付き方がハンパなく、
「はっ!この家で野球の話はしてはいけない」と思った次第です。



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