<W解説>犬を新たに迎えた現職大統領と、長年愛情を注いだ犬を引き渡すことになった前大統領=韓国(画像提供:wowkorea)
<W解説>犬を新たに迎えた現職大統領と、長年愛情を注いだ犬を引き渡すことになった前大統領=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と夫人のキム・ゴンヒ(金建希)氏が先月24日、盲導犬を引退したラブラドールレトリバーを新しい家族として迎え入れた。夫妻は犬好きとして知られ、大統領公邸で犬5匹を飼っている。尹大統領は「クリスマスイブにもらったプレゼントの中で、一番大きな喜びと幸せを与えてくれたプレゼント」と喜んだ。

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夫妻が迎えたのは雌の「セロミ」。2016年から先月まで、盲導犬として活動してきた。尹氏は大統領選の候補者だった昨年1月、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)ヨンイン(龍仁)の盲導犬学校を訪れ、盲導犬との歩行体験を行った。この際、「(大統領選挙に)当選したら、引退する盲導犬を引き取り、面倒を見たい。私はレトリバーが好きだが、マンションでは育てにくい環境なので、官舎なら条件がいいのではないか」と話していた。尹氏は大統領に就任後も、これまで住んでいたソウル市内のマンションで生活し、毎朝、大統領室に出勤していたが大統領官邸のリフォームが終わり、11月、官邸に引っ越した。

官邸での生活が始まったタイミングで、尹氏は約束通り、引退した盲導犬を迎え入れた。尹氏は犬のほか猫5匹も買っており、セロミが11匹目のペットとなった。尹氏は「引退した盲導犬を新たに引き取り世話することを『引退犬のホームケア』と言うが、むしろ私たち家族がセロミからケアを受けるようで、より幸せになれそうだ」と話した。また、「視覚障害者の盲導犬が、店や公共の場所で拒否されることがないよう、市民の意識改善のためにみんなで努力しよう。盲導犬歓迎の案内文を店に貼る運動を全国に広げてほしい」と呼び掛けた。

金夫人は「動物は人間の最も大切な友人であることを今日改めて感じた、まだ一部では動物をモノのように扱うケースをたびたび目にする。虐待を受けて傷つく動物がいないように、韓国社会の認識改善のため最後まで最善を尽くしたい」と語った。

先月26日に、尹氏はセロミを連れて大統領室に出勤した。大統領室のイ・ジェミョン(李宰明)副報道官は「今朝、大統領が出勤するときセロミが一緒についてきて結局、執務室まで連れてくるしかなかった。大統領は出勤後に首席秘書官らとティータイムを過ごし、このときセロミを首席らに紹介した後、再び官邸に戻した」と説明した。

一方、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領は、2018年9月の南北首脳会談の際、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記からプレゼントされた犬を韓国政府に返還した。返還したのは北朝鮮原産の犬「豊山犬」2匹。文氏の大統領在任中は大統領府で飼われ、退任後は南東部キョンサンナムド(慶尚南道)・梁山(ヤンサン)市の私邸で引き続き飼育されてきた。

文氏が国家元首として受け取った豊山犬は法律上、大統領記録物に分類されるため、文氏の退任に伴い、2匹の引継ぎ問題が浮上した。しかし、「たとえ首脳間の贈り物であっても、それまで育てていた主人が引き受けるべきだ」との尹氏の意向もあり、2匹は結局、文氏の私邸に引き取られた。その際、大統領記録館からの管理委託という形が取られ、文氏は尹政権側に犬の飼育・管理費用を国から受け取るための法令整備を求めた。しかし、政府内からは国がその費用を負担するのはおかしいと反発が上がり、文氏は昨年11月、2匹を国に返還すると通知した。法律上、記録物であるが生き物のため、貸与という形で動物園で飼育されることとなった。2匹は先月12日、南西部・クァンジュ(光州)市内の動物園に移送された。一時、文氏が飼育の費用を惜しんでいるのではとの見方も広がったが、文氏は「この6か月間、大統領記録物であるペットに対して、すべての費用を負担し愛情を注いできた」と反論した。

現大統領は新しい犬を迎え、前大統領は長年かわいがってきた犬を引き渡すこととなった。結末は対照的なものとなったが、両者とも無類の犬好きであることは良く知られている。

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