「YAMA&HOTCHICKS」ダンサー、パク・チャンホ氏
「YAMA&HOTCHICKS」ダンサー、パク・チャンホ氏
日本をはじめ世界的にK-POPのカバーダンスが流行し、そのキャッチーでインパクトの強い振り付けに視線が注がれる中、歌手のステージを彩るバックダンサーに注目するファンも急増しているという。そして最近、本場韓国のダンサーが来日しスクールを開講するまでに及んでいる。

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 今夏、“韓流の聖地”東京・新大久保にK-POP専門のダンススタジオ「YAMA&HOTCHICKS」がオープンし、大好評を得ている。日本のレコード会社「LD&K」とタッグを組み、K-POPダンスを広めよう、ダンスに楽しく触れ合ってもらおうと、パク・チャンホ氏、チョン・ミジョン氏、KANAE氏(日本人)という3人の日韓トップダンサーが集い、K-POPダンスの魅力を伝えている。

 今回はイケメンダンサー、パク・チャンホ氏(31)に日本でのダンス生活やダンサー事情について聞いた。パク・チャンホ氏は、韓国の有名ダンスカンパニー「YAMA&HOTCHICKS」の室長で、「KARA」や「T-ARA」など日本でもお馴染みのK-POPアイドルと共に活動を展開している。

<b>-ダンスを始めたきっかけは。</b>
ダンス歴は20年になります。初めは、友人たちと趣味で始めたのですが、「誰よりも上手くなりたい」「僕のダンスを見てもらいたい」と思うようになっていきました。僕の故郷が韓国の大邱(テグ)という地方都市なのですが、ある時、ソウルで活動するダンサーたちが来ることになったんです。その公演を見て「僕をあんな風に踊れるようになりたい」と思い、ダンスを習うため彼らのもとを訪ねました。その後、ダンスを猛勉強するうちに、プロダンサーという夢が広がりました。

<b>-人生で初めてのステージは。</b>
僕の初めてのステージは「JTL」(「H.O.T」からの派生グループ、メンバーはトニー・アン、イ・ジェウォン、チャン・ウヒョク)というユニットで、2002年でした。そして今、トニーさんが「SM☆SH」というグループを育てていますが、僕が「SM☆SH」のレッスンや振り付けを担当しました。「JTL」活動時から5年ほどが経っていたのですが、トニーさんに初ステージのことを話したら、「あの時、君がいたのか」と不思議がられましたね。今は親しい兄として仲良くさせていただいています。

<b>-日本(海外)でダンスを教えることに、難しさは。</b>
やはり言語です。日本に来て日本語の勉強にも励んでいて、ダンス用語から学んでいます。できるだけ覚えた日本語でレッスンしようと心がけていますが、きちんと伝えなければならないことには、韓国語や英語が出ることもあります。

<b>-日本の生徒さんの印象は。</b>
僕よりも年上の方々が趣味でレッスンを受けています。その点が韓国とは随分異なる文化だと思います。韓国では「この年齢ではこういう音楽を聴かなくては」「こういう趣味を持たなくては」という風潮があります。日本の場合、先生である僕が年下にもかかわらず、積極的にレッスンを受けに来てくださるので、とても感謝しています。こういう部分はとてもいいことだと思っていて、韓国でもさまざまな年代にダンスを広められたらなと感じています。ダンスの上手さは関係ないので、楽しく踊って、ダンスやK-POPを身近に感じてもらいたいですね。毎日、新鮮な気分で、すごく楽しみながら教えています。

<b>-レッスン時に気をつけていることは。</b>
生徒さんの多くは、ダンスに興味はあったけどチャレンジできずにいたという方々ですので、週に1~2度のレッスンにおいて、プロのように実力をアップグレードすることは難しいのが正直なところです。そういう意味では、初心者にも学びやすい環境を作ることが大切になります。難しい動きを教え込んでも、生徒の皆さんにとって本当の力にはなりません。どうしたら次回までに振り付けを忘れずにいてもらえるか、ということを意識するようにし、時間を有効に使いながら動作一つひとつに集中して教えています。日常のストレスを忘れて、活力のようなものを得てもらえればうれしいです。

<b>-最も影響を受けたダンサーは。</b>
僕が22歳のとき、ポッピン・ヒョンジュンという韓国で有名なポッピン(POPPIN)ダンサーと一緒にダンスをする機会がありました。彼は、ダンサーという職業は自分自身が楽しみながら踊らなければならないという考えの持ち主でした。上手にかっこよく見えるのもいいが、楽しんでできるダンスを踊りなさい、と…。そんなマインドが、今でも僕がダンスをするときの基準になっています。

<b>-振り付けをするときに心がけていること。</b>
まずは、担当するアーティストがどのようなコンセプトで活動するのかを考えた上で、音楽のイメージに合わせて動きを作っていきます。そして、アーティスト本人が持っているダンスの実力も重要なポイントです。実力相応の振り付けでなければ、ダンスを消化することができませんからね。どれだけ良い振り付けを考えるかが重要なのではなく、彼らに何を教えることができるのか、を常に念頭に置いています。また、すべてを一人で振り付けしている訳ではありません。僕よりも上手なダンサーがたくさんいるので、一緒に考えて、コンセプトなども話し合いながら作り上げていきます。日本でデビューして間もない「A-JAX」というグループも僕がダンストレーニングを担当したので、ぜひ注目してみてください。

<b>-日本でのK-POPブームについて。</b>
まずは「不思議だな」と感じています。そして、素直にK-POPを好んで聴いてくださることを有難く思います。いつも歓迎してくださるので、公演ステージに立つ者として感謝の気持ちでいっぱいです。海外の方々がK-POPに興味を持ってくださることで、お互いにコミュニケーションが図れ、それによって僕たちも海外活動に順応できるのです。K-POPブームは、タイミングや運もあってのことだと思いますが、その中に歌手の努力があり、多くの力が合わさってできた結果なのではないでしょうか。僕たちダンサーも少しでも力になれればうれしいです。

<b>-日韓でのダンサー文化の違いは。</b>
韓国のダンサーたちは、すべてのダンス(ジャンル)を学びたいという思いが強いようです。実力者のダンスをよく見て、いい意味で真似ようと努力し、互いに得意のダンスを教え合います。日本のダンサーたちは、自分自身のダンスに自信とプライドを持っていて、自分ならではのダンススタイルが明確にあるように思います。僕が教える立場になっても、僕に教わったままではなく、自分のスタイルにアレンジして踊れるところが韓国とは違うようですね。

<b>-今後どのような活動をしたいか。</b>
ダンサーとして若さや体力だけでできる年齢は超えたと思っています。今後は、舞台演出など、さまざまなことを経験していきたいですね。それから、僕が持っているノウハウやダンスに対する考え方をもっと伝えていきたいです。

<b>-これからダンスを習う人にアドバイス。</b>
「ダンスを始めてみたい」という気持ちがあれば、躊躇(ちゅうちょ)することなく最初の一歩を踏み出してみてください。始める前からあれこれ悩んでしまう人も多いようですが、僕の経験から言うと、まず大きなことに挑戦してみれば、小さな悩みは自然と解決していくものです。迷ったままで時間だけが過ぎ、結局できなくなってしまっては何の意味もありません。アジアの音楽文化を共有できる環境の中で、多くの方々にダンスを楽しんでいただければと思います。

<b>-インタビューをご覧の方々へ。</b>
ダンスは、決して難しいものではありません。好きな歌手やグループのダンスを真似てみるだけでも良いですし、ダンス好きな友人と集まって踊ってみるのも楽しいと思います。「踊ってみたい」と思ったら、ダンススクールへ足を運び、ダンス文化がさらに発展するように、みんなで盛り上げていきましょう。そして僕たち「YAMA&HOTCHICKS」の活動もぜひ応援してください。頑張ります!

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