独自の俳優哲学を持つイ・ジュンギ(写真提供:OSEN)
独自の俳優哲学を持つイ・ジュンギ(写真提供:OSEN)
イ・ジュンギというと、撮影時にファンの方々が熱心に差し入れをすることで有名だ。『夜を歩く士(ソンビ)』の撮影のときも、その慣例はしっかり守られた。

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 イ・ジュンギも心から感謝している。

「おかげ様でスタッフの方々もお腹いっぱいになれましたし、ぐったりするほど蒸し暑い真夏だったのに力が出ました。本当に、現場の雰囲気もよくなりました。やっぱり、忙しい現場なのでまともに食事もできず、次第に機嫌が悪くなったり疲れたりすることがあるんですよ。その度にファンの方々が大きな愛情で力をくださるので、とても感謝しています」

 俳優としての力量、そして、人間イ・ジュンギの美しい魅力に惹かれたファンが、率先して彼を支え、少しでもその力になりたいと願っている。これほど多くのファンに支えられている俳優も少ないだろう。

 思いおこせば、まだイ・ジュンギが映画『王の男』でブレークする前にインタビューしたことがある。それは、2004年8月のことだった。

 そのインタビューの中で、イ・ジュンギは「目標にしている俳優は?」と尋ねられて、こう答えていた。

「目標の俳優を決めて、その人のような存在になろうとは思っていません。この世界には多くの先輩俳優がいて、それぞれの方が自分のカラーを持っていらっしゃいます。確かに、先輩たちのいい部分を一つずつ学んでいきたいと思っていますが、特別に誰かというふうに考えないで、とにかく自分の不足している部分を探していきたいという気持ちが強いですね。」

 まだ売れる前に、イ・ジュンギは独自の俳優哲学を持っていた。

 それは、誰か大物の俳優を模倣するのではなく、あくまでも自分の独自の演技スタイルを確立するという決意表明でもあった。

 そのインタビューの翌年にイ・ジュンギは映画『王の男』で大人気となり、その美貌は多くの人たちを虜にした。その後の大活躍は周知の通りである。

 とにかく、イ・ジュンギのファンサービスは徹底している。

 日本でファンミーティングを開くにしても長く準備して、まるでミュージカルのような最高のライブパフォーマンスを見せてくれる。

 その陰でどれほどの努力をしていたのだろうか。トップになるべくしてなった俳優…それがイ・ジュンギなのである。

 イ・ジュンギは2010年5月から2012年2月まで兵役に就いていた。その時期、彼にはどんな心境の変化があったのか。

 除隊後には、出演作の傾向も変わってきた。明らかに、時代劇への出演が多くなったのだ。『アラン使道伝』、『朝鮮ガンマン』、『夜を歩く士(ソンビ)』。ラインナップを見ると確かにそうだ。

 イ・ジュンギが時代劇の魅力を語る。

「自分には時代劇のほうが合っていると思います。個人的にも、時代劇が好きです。表現の違いも大きいですね。現代劇は生活の中の細やかな演技を表現する面白さがあり、時代劇では形が決められていない表現を想像して演じていく楽しみがあります。」

 実際、イ・ジュンギには時代劇がよく似合う。

 最新作は『歩歩驚心:麗』。936年に朝鮮半島を統一した高麗王朝の初期が舞台となる時代劇で、イ・ジュンギは初代王の王建(ワン・ゴン)の息子に扮している。やがては、名君のほまれが高い4代王・光宗(クァンジョン)になる人物なのだが、物語では複雑な境遇を抱えた王子が偉大な王になっていく過程がファンタジーとロマンスを交えて描かれていく。

 この『歩歩驚心:麗』は、韓国ドラマではまだ少ない完全事前制作方式の作品で、韓国での放送も今年の下半期になる予定だ。

 『夜を歩く士(ソンビ)』で120年も生きたヴァンパイアを演じたイ・ジュンギが、『歩歩驚心:麗』ではどんな演技を披露してくれるのか。

 彼は「時代劇では形が決められていない表現を想像して演じていく」と語っているが、その言葉のとおり、最新作ではきっと「今まで誰も見たことがないイ・ジュンギ」を見せてくれることだろう。


(文=「愛韓」編集部)

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