救急法の訓練を受ける新兵たち
救急法の訓練を受ける新兵たち
超新星」のソンモは、韓国中部の論山(ノンサン)にある陸軍訓練所に4月28日に入隊した。論山は、ソウルを起点にすると、直線距離で南に150キロメートルのところにある。ソウルからはKTX(高速鉄道)で行くことができる。この論山にある陸軍訓練所は、新兵訓練のメッカである。

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■新兵の45%を鍛える陸軍訓練所
 陸軍訓練所が設立されたのは1951年で、かつては第二訓練所と言われていた。当時は済州島(チェジュド)に第一訓練所があったからである。

 しかし、立地の良さから重宝され、1999年から正式に「陸軍訓練所」となり、陸軍に入る新兵を最初に鍛えている。

 なお、陸軍の新兵教育施設は、「陸軍訓練所」「102補充隊」「新兵教育師団」の3種類がある。

「陸軍訓練所」と「102補充隊」は1か所のみだが、「新兵教育師団」は22の師団に設置されている。

 つまり、合計で24施設ということになる。

 新兵訓練を行なう人数は1年間に28万5千人。その中で、陸軍訓練所はわずか1か所で45%の新兵を受け入れている。まさに、新兵訓練のための専門施設と言えるだろう。

 結局、ソンモも他の多くの新兵と同様に、陸軍訓練所に入隊した。

■携帯電話を持ち込めない
 陸軍訓練所は新兵の訓練のみを行なうので、訓練期間が終われば、新兵たちはそれぞれに決定された所属師団に移っていく。

 いわば「束の間」の部隊ということになるが、陸軍訓練所は新兵訓練の専門施設として設備が充実しているので、その点では新兵も少しは安心かもしれない。

 原則的に、入隊するときは髪を3センチ以下まで短くして、必要な書類を持参するだけだ。誰もが私服でやってくるので、生活必需品や服などは訓練所に入ったあとに支給される。そして、着てきた私服は宅配便で実家に送られるのである。

 なお、新兵として入隊するときは、携帯電話を持ち込めない。今までは携帯電話がある生活が当たり前だったが、軍隊に入ればそういうわけにはいかないのだ。

 一転してアナログな生活に戻るのである。今の若者には、これが本当につらい。「軍隊は一般社会と違う」と割り切って、携帯電話がない生活に慣れるしかない。

 それでは、新兵訓練の概略を見ていこう。

 新兵訓練の期間には4週間課程と5週間課程があり、一般兵士となる新兵はみんな5週間課程である。

 その5週間課程を受ける新兵の入所式は月曜日の午後に行なわれる。

 一方、4週間課程の新兵たちの場合、入所式は木曜日の午後に行なわれる。ソンモが木曜日(4月28日)に入隊したということは、通常の例でいうと、4週間課程に該当している。

■軍人としての心構えを持つ
 4週間課程の人は、社会服務要員や義務警察官・義務消防官になる場合がほとんどだ。そうなると、ソンモも新兵訓練のあとには軍務代替制度で社会服務要員や義務警察官になる可能性もある。

 一応、4週間課程の中身を見てみよう。

 入所式は、一般人から軍人になったと明確に意識するための儀式である。それが終わると、正確な身体検査を行ない、体格にあった服を支給される。併せて、生活必需品も用意される。

 さらに、軍服と銃を受け取る。銃は慎重に管理しなければいけないので、その方法について詳細な指導を受ける。

 その後に、入隊式に臨んで正式に軍人としてのスタートを切る。

 最初は、軍人としての精神教育を徹底的に受ける。続いて、制式訓練に移る。ここで、軍人としての敬礼と歩行を学んでいく。

 以後は実戦的な新兵訓練が始まる。射撃の予備訓練、射撃の実弾訓練、警戒訓練(歩哨の基本を覚える)、救急法の習得、ガス室訓練、手榴弾訓練、戦闘訓練(特に敵地を奪うための突撃訓練を重視)などを行なう。


■恐怖の訓練を乗り越えて
 新兵訓練の最後には、20キログラムのリュックを背負って20~30キロメートルを早足で移動する行軍を実施する。

 以上の課程をすべて4週間で終わらせるのである。

 なお、あらゆる訓練の中で、新兵が一番恐れるのがガス室訓練である。これは催涙ガスを全身に浴びる訓練で、射撃訓練や手榴弾訓練よりも新兵が嫌がるものだ。

 最初は防毒マスクをつけて訓練室に入るのだが、催涙ガスを浴びると防毒ガスを脱がなければならない。

 これがたまらない。涙と鼻水が止まらなくなり、とても苦しむ。それでも耐えなくてはならない。このつらさは、やった者でしかわからない。

 当然ながら、ソンモもこのガス室訓練をやらざるをえない。たった1回だし、そのときは覚悟を決めて臨むしかないだろう。

 このように、つらいことも多いが、本人にしてみれば、4週間はアッという間だろう。それほど訓練に集中するのである。

 逆に、待っている人のほうが長く感じるかもしれない。それでも、あこがれのスターの無事を祈るファンの気持ちは、本人にも十分に伝わる。それこそが、厳しい訓練を乗り切る原動力になるのだろう。


文=康 熙奉(カン ヒボン)
(ロコレ提供)

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