チェ・ミンス の最新ニュースまとめ
■ワクワクするような時代設定
ドラマ『テバク』で注目すべきは、朝鮮王朝で一番面白い時代を舞台にしていることである。
面白い時代とは?
それは、朝鮮王朝の19代王・粛宗(スクチョン)から21代王・英祖(ヨンジョ)に至る時代だ。
とにかく、粛宗は女性関係が派手だったこともあり、王家では正室と側室の間で様々な事件が起きている。その中では特に、「朝鮮王朝随一の悪女」と言われる張禧嬪(チャン・ヒビン)と、ドラマ『トンイ』の主人公になった淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏が有名である。
興味深いのは、チャン・グンソクが演じるテギルとヨ・ジングが扮する英祖が兄弟となっている点だ。英祖は母が淑嬪・崔氏で、生まれたのが1694年だが、その前年にわずか2か月で早世した兄がいた。
その兄が実は早世したのではなく捨てられていたのだ、という設定になっているのが『テバク』のポイントだ。捨てられた王子がテギルというイカサマ師になって、やがて国王となった英祖と国家を賭けた大勝負を争うことになる…こういう展開だからドラマが面白くないわけがない。
■粛宗をめぐる女性たち
『テバク』の脚本を担当するのは今年40歳のクォン・スンギュ氏。過去に『ペク・ドンス』と『火の女神ジョンイ』の脚本を書いている。
時代劇というと、大ヒット作は女性脚本家の場合が多いのだが、男性のクォン・スンギュ氏は大がかりなストーリー設定に定評がある。その点で大いに期待できる。
それでは、『テバク』の背景になっている時代について説明しておこう。
朝鮮王朝の19代王だった粛宗(スクチョン)。ドラマ『テバク』では、名優のチェ・ミンスが演じている。
歴史上で見ると、粛宗には合計で4人の正室がいた。
最初の正室は仁敬(インギョン)王后だったが、天然痘のためにわずか19歳で亡くなっている。
二番目の正室は仁顕(イニョン)王后で、人格が優れていて多くの人から慕われたが、子供に恵まれなかったために、次第に粛宗の寵愛を失っていった。
代わって粛宗に愛されたのが張禧嬪であった。
一介の宮女にすぎなかった張禧嬪。巧みに粛宗に近づき、ついには粛宗との子を成して宮中での権勢をほしいままにした。
ちなみに、「嬪(ピン)」とは王の側室の中で最も高い地位にいる女性につけられる品階である。その上は、もう「妃」しかない。
張禧嬪はその座を狙った。
■死罪となった張禧嬪
王妃になることを狙った張禧嬪にとって、邪魔だったのが仁顕王后である。
張禧嬪は策をめぐらして仁顕王后を正室の座から追い落とすことに成功し、念願の王妃になった。
このあたりの事情は、キム・ヘスが主演したドラマ『張禧嬪』でも詳しく知ることができる。
ただし、彼女の栄華は長く続かなかった。
政治派閥の権力闘争の過程で、35歳だった1694年に張禧嬪は王妃の座から側室に降格してしまった。
その後、再び仁顕王后が正室の座に返り咲いた。
しかし、仁顕王后は1701年に34歳で亡くなった。それが同時に張禧嬪の破滅につながった。
というのは、張禧嬪が神堂を建てて仁顕王后を呪い殺そうとしたことが発覚したのである。なんとも神がかり的な話なのだが、実際に仁顕王后が亡くなっているので、これは重大な反逆罪となり、粛宗は張禧嬪を死罪に処した。
こうして、宮女から王妃まで異例の出世をした希代の女性は、欲におぼれすぎたために42歳で生涯を閉じた。
ただ、張禧嬪の増長を許したのは粛宗本人であり、彼の女性遍歴が宮中の火種を生むことも多かった。
■王子が捨てられた理由
粛宗が後半生で寵愛したのが淑嬪・崔氏だった。ドラマ『トンイ』の中でハン・ヒョジュが演じている主人公である。
この淑嬪・崔氏が生んだ息子がのちの21代王の英祖(ヨンジョ)だ。『テバク』ではヨ・ジングが演じている。
英祖が生まれたのは1694年だが、実は淑嬪・崔氏は前年の1693年にも粛宗の息子を産んでいる。それが永寿君(ヨンスグン)である。
悲劇的なことに、彼はわずか2か月あまりで早世している。これは歴史上の話なのだが、この永寿君は亡くなったのではなく捨てられたのだ、というのが『テバク』のストーリーだ。
捨てられた理由は、「粛宗が永寿君は自分の子供ではない」と疑念を持ったからだという。ありそうな話だ。というのは、淑嬪・崔氏は粛宗の側室でありながら、別の愛人がいるという噂が当時も宮中に起こっていたからである。
謎めいた女性だった淑嬪・崔氏。彼女が産んだ長男が捨てられて、最下層の身分として育てられてイカサマ師になる。それが『テバク』の主人公となるテギルであり、チャン・グンソクが演じている。
結局、テギルと英祖は兄弟になるわけで、その2人が国家を賭けて一世一代の大勝負をするのが『テバク』の最大の見どころになっている。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
(ロコレ提供)
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